ボルドの概要
ボルド(Peumusboldo(英)Boldo、Boldus)モニミア科[ぺウムス属]
ボルドは羽状の葉を有する樹木で、チリ中部から南部にかけて原産地としますが、この樹木が豊富に自生しているのはチリだけです。現在はヨーロッパにも帰化しています。
平均して約6〜12mの高さの樹木となり、幹を切ると、何本かの幹を有する灌木となって再成長します。
滑らかな茶色の樹皮と卵形の革質の香りのある葉を持つ灌木性の木。夏の終わりに、淡い緑色の香りのよい花が房になって咲きます。雄花と雌花が別の株に咲き、雌花は淡い黄色い実になります。温暖な保護された地域では冬越しできます。
チリでは経済的に重要で、硬材、タンニン、樹皮からとった染料、果実、薬として利用されています。
日本ではあまり一般的ではありませんが、茶として用いられることがあります。
ボルドの葉は南米およびヨーロッパで消化器障害に対して用いられており、短期間の使用は安全です。精油は毒性を有します。
ボルドは葉が利尿や寄生虫駆除、胆のう・肝臓の不調に用いられてきました。コミッションE(ドイツのハーブ審査委員会)で寄生虫駆除と消化不良の用途で、承認されています。ただし、胆石や肝臓病の人への応用は危険な場合もあるため、専門家の指示に従って使用するべきです。
ボルドの成分
ボルドはイソキノリンアルカロイド(最大0.5%)を含み、その主成分はボルジン(アルカロイドの2〜19%)です。
ボルドの葉は、タンニン1.2%、精油2〜3%を含有します(精油には有毒なテルペンであるアスカリドールが最大45%およびシネオールが30%含まれている)。
ボルドはさらにモノテルペン炭化水素(主に、シメン)、フラボノイドなどを含有します。
ボルドの効果効能
ボルドの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
腸内寄生虫駆除に用いられる、消化不良に用いられる、ヨーロッパでは胃腸痙攣に用いる、健胃効果がある等の報告があります。
利尿効果があり、泌尿器の抗菌薬で、尿路感染の治療に用いられる、ヨーロッパで利尿薬の調合に用いる等の報告があります。
胆汁分泌を増加させ、肝臓や胆のうに刺激を与え、肝臓疾患、胆のう機能不全、胆石に効果がある、民間で肝疾患や胆石症での胆汁刺激薬として用いられる等の報告があります。
リウマチに効果があるとの報告があります。
エタノール抽出物とエーテル抽出物は強い抗酸化効果を示した、ヨーロッパで強壮薬の調合に用いる等の報告があります。
ボルドの副作用・毒性
ボルドの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
重篤な肝障害と胆石がある場合には胆汁管閉鎖を起こすことがあるため禁忌。ボルドは医療従事者の監督下で使用するべきであるとあり、妊娠中、授乳中は避けるべきです。
ボルドはアルコール飲料に最大0.0002%まで利用されています。アメリカではアルコール飲料にのみ、香料としての使用が許可されています。
揮発性オイル(葉に2.5%)を含み、その中には有毒なアスカリドールを含有するため医療目的での過剰な摂取は恐らく安全でないと言われています。
ボルドを摂取する場合、アスカリドールを含まない処方の物を摂取すべきであるといいます。
経口摂取により、痙攣の副作用を起こす可能性があります。また外用で、皮膚の炎症の副作用を起こす可能性があります。
抗凝血薬、血小板凝集阻害薬、ワルファリンとの併用は避けるべきです。
また腎臓疾患の人は非アスカリドールのボルド製品以外は避けるべきです。
肝臓病、胆道閉鎖症の患者は禁忌、胆石の患者は自家療法は避け、きちんと診察を受けながら摂取すベきです。
精油にはアスカリドールという有毒なテルペンが含まれているため、ボルドの長期摂取は控えるべきです。
胆道閉塞を有する場合は摂取すベきではありません。