セイヨウトチノキ(マロニエ)の効果効能、副作用や毒性は?静脈瘤や外傷など

セイヨウトチノキ 静脈瘤 外傷

セイヨウトチノキ(マロニエ)の概要

セイヨウトチノキ(マロニエ)

セイヨウトチノキ(マロニエ)

セイヨウトチノキ(マロニエ)(英 Horse chestnut)とちのき科[トチノキ属]

セイヨウトチノキは別名マロニエ(フランス語)として知られる植物です。利用部位は樹皮、葉、花とタリに似た果実である日本では果実は原則として医薬品の扱いです。街路樹として植えられていることもあります。

果実は適切に摂取すれば安全であり、静脈を強化し静脈瘤による症状を緩和する効果があるとされています。ヒトでの科学的立証がされているのは果実の標準化エキスのみであり、ドイツのコミッションEでも果実のみが承認ハーブで、葉は未承認ハーブに分類されています。

生の実をロにするのは危険であるので、加工して有害な物質を除いたエキスを使用するべきです。

マロニエの実

セイヨウトチノキ(マロニエ)の実

230mほどの高さになる落葉樹で白い花をつけ、とげのある球形果実をつけます。原産地は小アジア、バルカン半島からヒマラヤまでの広い地域で見られます。16世紀にヨーロッパに紹介されました。春の終わりに直立した白い花が穂状につき、秋には球状の緑褐色の有棘の実の中に1〜3cmの光沢のある赤茶の種があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の花

セイヨウトチノキ(マロニエ)の花

セイヨウトチノキ種子抽出物は、医療用医薬品としては、術後・外傷後の腫脹、痔核の症状(出血、疼痛、腫脹、瘙痒感)の寛解に用いる軟部腫脹治療薬(内服薬)に用いられます。一般用医薬品としては、痔疾用薬(内服薬、軟膏薬、坐薬)や外用消炎鎮痛薬に配合されています。

セイヨウトチノキ(マロニエ)を使った医薬品例

医療用医薬品:べノプラント錠
一般用医薬品:内服ボラギノールEP、サノーラA坐剤・軟膏

セイヨウトチノキ(マロニエ)の成分

■セイヨウトチノキ(マロニエ)の主な成分■
サポニン(アエスシン)、フラボノイド、クマリン、エスクリン(クマリン配糖体)、タンニン(樹皮はサポニンを含まない)などが含まれています。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の効果効能

セイヨウトチノキ 効果 効能

セイヨウトチノキ(マロニエ)の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■セイヨウトチノキ(マロニエ)の効果効能一覧■

「動脈硬化、脳卒中、心臓発作、循環器系機能低下、静脈瘤、静脈炎、内痔核、塞栓症、血行促進、耳鳴り、高血圧低血圧、静脈瘤性潰瘍、腸炎、直腸、下痢、めまい、坐骨神経痛、月経痛、前立腺肥大、浮腫、肝臓、胆のう、胆汁分泌、外傷、腫れ、骨折、狼瘡、皮膚潰瘍、変形性関節症、リウマチ、マラリア、赤痢、がん、尿酸、脾炎、抗炎症」

セイヨウトチノキ(マロニエ)の有効成分サポニンやタンニン、フラボノイドが静脈壁を調節・強化し、静脈壁の透過性を下げる効果がある、動脈硬化、脳卒中、心臓発作、循環器系機能低下、静脈瘤、静脈炎、内痔核などの静脈の疾患に使用する、樹皮と花をあわせて、静脈瘤、血管の強化、循環器系機能向上、塞栓症予防、血行促進、耳鳴り、高血圧及び低血圧に効果がある、葉は静脈瘤とその不快な症状、静脈瘤性潰瘍、静脈炎、血栓性静脈炎、静脈瘤様静脈、他のハーブとあわせて静脈の疾患、動脈硬化の予防に効果がある、果実は静脈瘤、静脈炎に効果がある、とくに標準化されたエキスは慢性的な静脈の疾患に効果がある等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の有効成分アエスシンは毛細血管壁の透過性を減少させる効果がある、果実のエキスはトリテルペンの混合物であるアエスシンを含み静脈の抗滲出性及び強化活性があるとの報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の軟膏は痔の応急措置に使用される、樹皮と花をあわせて、痔核と直腸のトラブルに効果がある、実は痔核、下痢に効果がある、葉は他のハーブとあわせて、痔核、裂肛、肛門の手術後の治療に用いられる、伝統療法で種子を胃炎、腸炎、痔に使用する等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の樹皮と花はめまいに効果がある、葉は坐骨神経痛の予防などに効果があるとの報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の葉は月経時の痙攀性の痛みに用いられる、アエスシン含有外用薬の効能には婦人科および産科での術後、あるいは分娩後のむくみに効果があるがある等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)は前立腺肥大の治療に用いられる、果実は前立腺肥大に効果がある等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の樹皮と花は(心機能不全からくる)浮腫に効果がある、ヨーロッパの伝統では葉調合剤を浮腫に用いる等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の樹皮と花は肝臓と胆のうの失調、肝臓病、胆汁分泌の失調に効果があるとの報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)は重度の外傷による腫脹(はれ)に用いる、関節痛および骨折部位の腫脹には注射薬もある、ドイツ他ヨーロッパ諸国では外傷後、手術時、手術後の大脳浮腫症状治療用および他の外科治療用にアンプル入りアエスシン静脈内注射が医師により臨床使用されている、樹皮と花は皮膚の狼瘡や潰瘍に用いられる、伝統療法で潰瘍に外用する、葉は湿疹に用いられる、葉は骨折や捻挫に伴う柔組織の腫脹、変形性関節症やリウマチの予防に効果がある等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)樹皮は経口でマラリアや赤痢に用いられるとの報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)果実、樹皮もしくは種子をがんの民間薬として使用する、成分の抗腫瘍性が試験管内試験で観察されている等の報告があります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の有効成分アエスシンは強い抗炎症効果があるとの報告があります。

トチノキの種子抽出物(HCSE)は妊娠中の利用を含めて比較的安全です。静脈還流不全による症状を低減し、また、その他の原因による下肢の浮腫を低下させます。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の副作用・毒性

マロニエ 副作用 毒性

セイヨウトチノキ(マロニエ)の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■の副作用・毒性一覧■
セイヨウトチノキ(マロニエ)の副作用としては、消化器症状、めまい、吐き気、頭痛、瘙痒症などが報告されています。

5,000例以上を対象にした観察試験で、軽度の有害事象が0.6%に観察されました。消化器症状およびふくらはぎの痙攣が最も一般的でした。速放性製剤では、徐放性製剤に比べ胃のむかつきが多かったといいます。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の生の実は有害なエスクリンが含まれているため食べないこととされています。量によっては致死的です。

有害なエスクリンを除いたものなら経口で摂取した場合おそらく安全であるとされますが、妊娠中および授乳中は避けましょう。

小児がセイヨウトチノキ(マロニエ)の葉と小枝の茶を飲んで中毒を起こしたという報告があります。葉のエキスを、筋肉注射した際に胆汁うっ血性肝障害が報告されています。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の葉、花、若芽および種子は有毒です。中毒症状としては、神経筋肉の痙縮、衰弱、散瞳、嘔吐、下痢、抑うつ、麻痺および昏迷などがあります。果実は妊娠中及び授乳中は安全でありません。

セイヨウトチノキ(マロニエ)のすべての部位は抗血液凝固効果のあるハーブやサプリメント、抗凝血薬との併用で出血傾向を高めることが考えられます。果実と血糖降下効果のあるハーブやサプリメント、糖尿病の薬、タンパク質結合性の薬剤との併用で、それらの効果に影響を与えることがあります。

セイヨウトチノキ(マロニエ)の果実は消化管に炎症のある人には禁忌、腎臓障害、肝臓障害のある人は使用しないこと、糖尿病の人が使用する際は、血糖値をよくモニターすることとされます。

研究・エビデンス

エビデンス

研究①セイヨウトチノキ(マロニエ)と静脈疾患

静脈疾患の患者での、ランダム化比較試験あるいはクロスオーバー試験の結果、セイヨウトチノキ(マロニエ)は足の浮腫、だるさなどの症状の軽減に効果があることが明らかにされました。

研究②セイヨウトチノキ(マロニエ)とスポーツによる外傷

数多くの臨床研究と症例報告によるとアエスシン含有外用薬の効能には、とくにスポーツによる外傷治療、例えば下肢の鈍的外傷、関節捻挫、腱炎、血腫、筋肉捻挫、外傷性の浮腫、アキレス腱炎など、外科外来患者の外傷では、骨折、捻挫、圧挫損傷、挫傷など、その他がある等の報告があります。