生姜の効果効能、過剰摂取での副作用 つわりや乗り物酔いに効く?

生姜 つわり 乗り物酔い

生姜の概要

生姜

生姜(しょうが)

生姜(別名はショウキョウ、カンキョウ(英)ginger)

生姜はインド原産の生姜科の多年草で、塊茎を食用とするとともに中国、ヨーロッパで薬草として血液凝固の抑制、嘔吐の抑制、解毒効果などの目的で、用いられてきました。

一般的に食用および薬用として用いられる毒性の少ないハーブであり、悪心や嘔吐の症状に有用な可能性があります。

医療用医薬品・一般用医薬品で、漢方製剤、胃腸薬(健胃消化薬)として用いられます。

一般用医薬品では、総合感冒薬、鎮咳去痰薬、鼻炎薬、ドリンク剤などに配合されています。生姜湯、香辛料として用いられることもあります。

一般用医薬品の例:新三共胃腸薬液、エスタックゴールド錠等

漢方でのショウガを使った処方一覧は以下の通りです。

■生姜を使った漢方処方一覧■
桂枝人参湯、柴胡桂枝乾姜湯、小青竜湯、大建中湯、大防風湯、当帰湯、人参湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓姜朮甘湯、生姜一胃苓湯、温経湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、加味帰脾湯、加味逍遙散、帰脾湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝加朮附湯、桂枝湯、香蘇散、五積散、吳茱萸湯、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯、十味敗毒湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小半夏加茯苓湯、升麻葛根湯、参蘇飲、真武湯、清肺湯、疎経活血湯、大柴胡湯、竹茹温胆湯、釣藤散、当帰建中湯、当帰四逆加菜爽生姜湯、一市湯、ニ陳湯、排膿散及湯、半夏厚朴湯、半夏白朮天麻湯、茯苓飲、茯苓飲合半夏厚朴湯、平胃散、防已黄耆湯、防風通聖散、補中益気湯、六君子湯、乾姜一黄連湯

生姜の成分

■生姜の成分■
根茎は1-4%の精油とオレオレジン(oleoresin)を含みます。精油の主な成分はジンギベレン(zmgiberene)、クルクメン(curcumene)、ビサボレン(bisabolene)など。刺激成分はジンケロール(gmgerol)、ショーガオール(shogaol)です。

生姜の効果効能

生姜 効果 効能

生姜の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■生姜の効果効能一覧■

「末梢循環不全、冷え性、吐き気、嘔吐、疝痛、食欲不振、消化不良、胃痛、下痢、鼓腸、胃痙攣、痔、唾液分泌、胃液分泌、乗り物酔い、片頭痛、腰痛、不眠、催乳、睾丸炎、生理痛、子宮出血、糖尿病、利尿、血尿、浮腫、胆汁分泌促進、変形性関節症、関節リウマチ、捻挫、脱毛症、筋肉運動強化、白内障、上気道感染、咳、気管支炎、去痰、鼻づまり、マラリア、かぜ、インフルエンザ、歯痛、つわり、発汗薬、へビの咬み傷、やけど」

生姜は末梢循環不全に対して経口で用いられるとの報告があります。

生姜は血行を促すので手足の冷え性によい、生姜を入れた湯に手足を浸すのも冷え性に効果があるとの報告があります。

ドイツのハーブ承認委員会コミッションEでは、生姜の消化不良への使用を承認しています。

生姜は疝痛、食欲不振、消化不良に対して経口で用いられる、胃痛、下痢、吐き気に経口で用いられる、疝痛、消化器系不良、腹部の冷え、吐き気、鼓腸に対して経口で効果がある等の報告があります。

中国漢方では生姜は通常、芳香健胃剤、食欲増進剤、駆風剤として効果があるとの報告があります。

中国漢方では生姜は下痢、嘔吐、かぜによる腹痛に生の根茎を、腹部膨満に根茎の皮を経口で効果があるとの報告があります。

伝統療法で生姜が痔に用いられる、消化管の張カ、蠕動運動を促進する効果がある、唾液、胃液の分泌促進効果があるとの報告があります。

生姜は乗り物酔いに効果がある、乗り物酔いに経口摂取する等の報告があります。ドイツのコミッションEでは乗り物酔いへの使用を承認しています。

薬局方及び伝統療法で生姜が片頭痛に対する抗炎症剤として用いられます。

生姜を経口摂取すると片頭痛の重さと持続時間を軽減するという知見がある、この効果については更なる科学的根拠の蓄積が必要です。

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)治療を中止する目的で、生姜が経口で用いられるとの報告があります。

生姜は外用で痙攀痛、腰痛に効果があるとの報告があります。

民間療法で生姜が不眠に効果があるとの報告があります。

催乳薬として生姜が経口で効果があるとの報告があります。

生姜は外用で月経痛に効果があるとの報告があります。

睾丸炎に対して新鮮な生姜が経口で効果があるとの報告があります。

中国漢方では子宮出血に、生または炭化した生姜の根茎を経口で効果があるとの報告があります。

生姜は利尿薬として経口で効果があるとの報告があります。

中国漢方では血尿に対して生または炭化した生姜の根茎を、浮腫に根茎の皮を経口で効果があるとの報告があります。

生姜には胆汁の分泌促進効果があります。

生姜変形性関節症に対してごく穏やかな効果があることが示唆されています。

薬局方及び伝統療法では、生がリウマチに対する抗炎症剤として用いられる、生姜を経口摂取すると、慢性関節リウマチ患者の関節の痛みを軽減するのに役立つことが示唆されていますが、この効果については、更なる科学的根拠の蓄積が必要です。

生姜は外用でリウマチ、捻挫に効果があるとの報告があります。

伝統療法で脱毛症に対して効果がある、生姜の生の汁や浸出液で頭皮をマッサージすると育毛を促すとの報告があります。

生姜には筋肉運動を強める効果があります。

民間療法で生姜が白内障に効果があるとの報告があります。

生姜は上気道感染、咳、気管支炎に対して経口で用いられる、肺を温めながら粘液や痰を排出させる効果がある、鼻づまりなどに用いる等の報告があります。

中国漢方では慢性気管支炎に生姜の乾燥根茎を経口で用いるとの報告があります。

マラリアの治療に新鮮な生姜が経口で効果があるとの報告があります。

薬局方及び伝統療法での用途として、粉末の生姜がかぜやインフルエンザに用いられる、かぜ、インフルエンザに経口で効果があるとの報告があります。

歯痛に対して新鮮な生姜が経口で用いられるとの報告があります。

生姜はつわりに経口で効果があるとの報告があります。

生姜は発汗薬として経口で効果がある、毒へビに咬まれた際に新鮮な生姜が経口で用いられるとの報告があります。

火傷に対して、新鮮な生姜の絞り汁が外用で効果があるの報告があります。

生姜の過剰摂取での副作用・毒性

生姜 過剰摂取 副作用

生姜の過剰摂取での副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■生姜の副作用・毒性一覧■
生姜は通常食品として適切に摂取すればほぼ安全です。生姜は料理によく用いられていますが、有害性は認められないと思われます。適切に用いれば、医療目的の経口摂取でも安全です。

通常の量であれば副作用はほとんど出ないですが、5g以上の過剰摂取をすると副作用発現リスクが高まります。

過剰摂取の主な副作用としては、腹部の不快感、胸焼け、下痢、ロや喉の刺激感が報告されています。まれに胸焼けが起きることが報告されています。

妊娠中でも医療目的の経口摂取はおそらく安全と考えられます。妊婦を対象とした研究によると、生姜は胎児に影響を与えることなく、つわりに対して安全に用いることができたました。

生姜はつわりには有用ですが、昔から月経抑制に用いられてきており、流産を促進する可能性があります。この作用はヒトではまだ示されていません。妊娠中の大量摂取(1日1000mg以上)は避けたほうがよいと思われるが、それ以下の用量では有害性はないようです。

新生児に重大な奇形が発生する確率は、生姜を摂取しても通常の1〜3%より高くはならないという報告があります。妊娠中は生の生姜を適切に摂取する場合、安全です。

伝統的に妊娠初期のつわり予防に用いられてきましたが、乾燥した生姜は大量に摂取しない方が良いでしょう。

乾燥した根は妊娠中は使用しないこと、胆石のある人は使用するときに医療従事者に相談することとされています。

試験の結果、プラセボと比較して副作用は認められなかったものもありますが、他の試験の結果では、軽度の胃腸症状、頭痛、眠気も報告されています。

外用では、過敏症の人で皮膚炎が起きることがあります。

併用するとスルファグアニジン(サルファ剤)の吸収を促進する可能性があります。

血液凝固系に効果するハーブやサプリメント、医薬品との併用で、血液凝固能に影響を与え、理論上、出血リスクが高まる可能性が考えられます。

生姜はインスリン濃度を上昇させることが示唆されています。理論上、糖尿病治療薬と
の併用で、その効果が増強される可能性が考えられます。

生姜は血圧低下効果、カルシウムチャンネル阻害効果があることが示唆されています。理論上、カルシウムチャンネル阻害薬と併用すると効果が強まる可能性が考えられます。

胃石の症例報告がいくつかあります。ほとんどの例は、小児や高齢者が保存加工された生姜を食べたことによります。

ラットにおいて、生姜はスルファグアニジンの吸収を150%まで増強しました。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①妊娠による悪心や嘔吐(つわり)

妊娠による悪心や嘔吐を患う女性70例に4日間、生姜(1日1g)とプラセボを投与し比較しました。生姜群ではプラセボ群と比較して、嘔吐の回数が有意に低下しました。

研究②めまい

20代36例に、ジメンヒドリナート、粉末生姜、またはプラセボのカプセルを摂取させて目隠しをし、6分間経過、嘔吐、吐き気がする強度の回転を3回転で3回、椅子から下ろしてくれるよう申し出るまで、のいずれかが起こるまで傾いた回転椅子に座らせました。その結果、プラセボ群およびジメンヒドリナート群では誰も6分間椅子に座っていられなかったですが、生姜群の半数の学生は座っていられました。誘発されためまいを制御するのに、生姜がプラセボより効果的であることがわかりました。

研究③鎮痛効果(変形性膝関節症)

特定の生姜抽出物を用いた試験が2件報告されており、170mgを1日3回あるいは255mgを1日2回、3〜6週間摂取したところ、立ったり歩いたりした後の痛みや関節のこわばりが軽減したという患者もいましたが、機能性、QOL、鎮痛剤の使用量などに有意な改善は見られませんでした。生姜はイブプロフェン400mg1日3回と同等の鎮痛効果を示したとする報告もあります。上記とは異なる製品を用いた第三者企業による試験の結果、変形性膝関節症で生姜の効果が現れるまで3ヶ月かかったとされています。

研究④船酔い、吐き気

吐き気、嘔吐に対する効果を調べた6件の二重盲検試験のうち3件は生姜に効果がないという結果だったが、船酔い、つわり、化学療法による吐き気のそれぞれ1件ずつの試験では生姜はプラセボと比較して有効でした。化学療法剤プロクロルペラジンの静脈注射後に生姜を経ロ摂取したところ、悪心を軽減したという報告もあります。麻酔や無痛法なしに手術した後の悪心や嘔吐の予防に生姜の経口摂取が有効であることを示唆する報告があります。しかし、麻酔や無痛法を用いた場合は効果がなかったとする報告もあります。

研究⑤消化管運動、つわり

健常人を対象とした空腹時及び食後の消化管運動に対する二重盲検クロスオーバー試験の結果、生姜の摂取により消化管運動が活発になりました。つわりのある妊婦が生姜を経口摂取したところ、症状が軽減したという報告があります。

研究⑥リウマチ、慢性腰痛

リウマチ及び慢性腰痛の患者113名を対象とした試験の結果、5-10%の生姜抽出物を患部に注射したところ、主観的な痛みがほぼ改善し、患部の腫れが軽減、関節の機能が改善しました。

研究⑦乗り物酔い

①乗り物に乗る4時間前に生姜を500〜1000mg摂取しましたが、乗り物酔いには効果がなかったとする報告があります。主観的な症状軽減を示す人もいたが、客観的に有意な効果はなかったといいます。②乗り物酔いの既往歴がある4-8歳の小児28名に生姜製剤250mg/回を4時間おきに2日間摂取させたところ、ジメンヒドリナート(抗ヒスタミン剤)摂取と比較して有意に効果が現れました。③船酔いした10-77歳の60名に、生姜製剤500mg/回を乗船前30分から4時間おきに48時間摂取させたところ、ジメンヒドリナートと同等の効果が得られ、ジメンヒドリナートよりも耐性に優れ、副作用発現が少なかったとのことです。④合計1489名の船酔いした人を対象とした試験で、生姜製剤は7種類の一般的な医薬品と同等の効果を示し、スコポラミンの経皮パッチよりも効果が高かったといいます。

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