もくじ
レシチン(ホスファチジルコリン)の概要
レシチン(英lecithin)(大豆レシチン/ホスファチジルコリン/卵黄レシチン)
レシチン(ホスファチジルコリン)は卵黄、大豆、酵母、カビ類などに含まれるリン脂質です。人体内のリン脂質では最も多く、細胞膜などの生体膜や脳、神経組織の構成成分として重要です。植物性および動物性食品に豊富に含まれています。大豆、卵および筋肉や内臓にとくに多く含まれます。
食品や医薬品の添加物としても知られており、乳化剤、抗酸化剤として用いられます。静脈や皮下に投与する注射剤の製造または調製時には乳化剤、安定剤として用いられます。
医療用医薬品では、ヨウ素レシチン製剤が、甲状腺疾患、小児喘息、網膜炎、硝子体出血などの治療に用いられます。医薬品の添加物として配合されていることも多いです。
サプリメントにも使用されるレシチン(ホスファチジルコリン)
植物レシチン(アブラ菜、または大豆の種子から得られる)および卵黄レシチンは食品添加物として主に乳化剤として用いられるほか、サプリメントの成分としても用いられます。
ホスファチジルコリンは比較的安全なサプリメントですが、認知症、遅発性ジスキネジアあるいは高コレステロール血症への有用性を示す臨床試験はないといいます。
ホスファチジルコリンは、哺乳類の細胞に存在するリン脂質の半分以上を占めます。レシチンはホスファチジルコリンと同ー物質ですが、市場に流通している大豆から得られるレシチンはホスファチジルコリンをわずか23%しか含んでおらず、残りはその他のリン脂質です。
レシチンの成分
その成分比は原料によって異なります。例えば、卵黄レシチンはホスファチジルコリンを69%、ホスファチジルエタノールアミンを24%含み、大豆レシチンはホスファチジルコリンが24%、ホスファチジルエタノールアミンが22%と19%のホスファチジルイノシトールを含みます。レシチンはアセチルコリンの前駆体です。
レシチンの効果効能
レシチンの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
レシチンはコレステロールの血管沈着を防ぐとの報告があります。
レシチンは認知症、アルツハイマー病の治療に用いられていますが、経口でおそらく効果がないと考える研究もあります。
レシチンは躁うつ病の治療、記憶カの向上、不安の緩和に効果があるとの報告があります。
レシチンは肝疾患の治療に用いられているとの報告があります。
レシチンは湿疹の治療に用いられているとの報告があります。
レシチンは腹膜透析の限外濾過の補助に経口で用いられているとの報告があります。
レシチンの副作用・毒性
レシチンの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
レシチンは食物中の含有量であれば、経口でほぼ安全です。
レシチンは医薬品として用いた場合、適量であれば経口投与、静脈内投与、皮下投与でほぼ安全です。
レシチン経口摂取の副効果として、下痢、吐き気、腹痛、肥満が起きることがあります。
高用量のコリン摂取(20g)は、めまい、吐き気、下痢や、微生物によってトリメチルアミンに分解されるため、魚臭いロ臭がするなどの症状を引き起こします。
レシチンとハーブやサプリメント、医薬品、食品との相互作用については、報告されていません。
妊娠、授乳、高カロリー輸液、肝硬変、血液透析などは、レシチンの体内利用率と吸収を増加させる要因になります。
妊娠中、授乳中の安全性については信頼できる情報が十分に報告されていません。安全性は不明です。
レシチンの研究・エビデンス
レシチンはさまざまな目的で用いられていますが、科学的に有効と思われる用途は限られており、ほとんどは科学的実証は十分でなく中には無効と思われる研究もあります。
研究①認知症
非常に限定された予備的な研究によると、ホスファチジルセリンの摂取が高齢者における認知症発症のリスクを低減する可能性があります。
しかし、レシチンのヒトでの効果については、科学的根拠にもとづく信頼できる研究は報告されていません。