もくじ
ローヤルゼリーの概要
ローヤルゼリー(英rovaljelly)はミツバチApismelliferaの分泌物です。
—般用医薬品では、ローヤルゼリーが滋養強壮薬、ドリンク剤(例、ハイゼリー散、ユンケル黄帝液)などに配合されています。
ミツバチ(働きバチ)から分泌されるミルク状の物質で、化粧品、洗顔石鹸などに配合されていることもあります。
ローヤルゼリーべプチドを含む製品が、血圧が高めの人に適した食品として、特定保健用食品の許可を得ています。
コレステロール値を下げ、アテローム性動脈硬化症の予防によいとされていますが、確かなエビデンスはありません。アレルギー反応はまれではなく、とくにアトピー体質の人に起きやすい。
ローヤルゼリーは若いミツバチの腺分泌物で、幼虫の餌としてつくられます。働き蜂になる幼虫にはローヤルゼリーがエサの一部として与えられますが、女王蜂になる幼虫にはローヤルゼリーのみが与えられ、より大きなミツロウの巣穴の中で育てられます。
ローヤルゼリーは免疫能の向上や若返りを目的として、また各種疾患に対概要して広く用いられています。その安全性や有効性、効果については十分な科学的実証はなされていません。
すべてのハチの幼虫の生後3日間の食糧ですが、女王バチになる幼虫に対してはその後も成長のために使われます。細かい不純物を除去する濾過の工程を経て、凍結したり凍結乾燥したりします。その成分は土地や気候によって異なります。最高級品は中国東北地方産のものであるといわれています。
ローヤルゼリーの成分
ローヤルゼリーは水分67%、蛋白質12%、糖質12%、脂質5%、ミネラル1%、その他ビタミン、塩類、アミノ酸などの低分子から構成されています。
そしてビタミンCとほとんどのビタミンB群を含有しています。植物ステロールの含有量が高いのも特徴です。
ローヤルゼリー特有の脂肪酸は、トランス-10-ヒドロキシ-2-デセン酸(10-HDA)です。—般に主な活性成分として認められている成分です。熱に非常に安定で、ローヤルゼリー
の他の成分が劣化するにもかかわらず、化学的にそのまま残っています。
またメチルパラヒドロキシオキシ安息香酸20mg/kgを含有しています。
royalisinはローヤルゼリーから精製される強カな抗菌活性のある蛋白質です。グラム陽性菌に活性をもちますが、グラム陰性菌に対する作用はないといいます。
ローヤルゼリーの効果効能
ローヤルゼリーの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
ローヤルゼリーの副作用・毒性
適切に摂取する限り、短期間であれば安全性が示唆されています。
経口摂取による副効果は、アレルギー体質でない人ではあまりあらわれないと言います。
しかし、アトピーや喘息の既往歴がある人においては、各種アレルギー反応(瘙痒、蕁麻疹、、湿疹、まぶたや顔の浮腫、関節炎、鼻漏、呼吸困難、喘息)が高い頻度で起きます。重篤な場合には、喘息発作重積状態、アナフィラキシー、死に至ることもあります。
アレルギーや喘息の既往症がある方は使用に注意が必要です。
ローヤルゼリー摂取後に出血性の大腸炎を起こしたという報告が1例あります。腹痛、出血をともなう下痢、結腸粘膜の浮腫と出血といった症状が見られましたが、ローヤルゼリー摂取を中止し対症療法を行ったところ、中止後2週間で症状は改善しました。
外用では、皮膚のかゆみや炎症の悪化、接触性皮膚炎があらわれることがあります。
ハーブやサプリメント、医薬品、食物との相互作用については報告されていません。
ローヤルゼリーの研究・エビデンス
研究①高コレステロール血症
(プラセボ対照試験)高コレステロール血症に対するローヤルゼリーの摂取について5つのプラセボ対照試験が行われました。患者総数は133例(ローヤルゼリー摂取81例。プラセボ52例)でした。3つの試験は、ローヤルゼリー(10〜100mg/日)を注射し、2つの試験は経口投与(30〜150mg/日)としました。
結果:それぞれの試験で有意な効果が認められました。コレステロールの平均低下量は34mg/dLでした。ただし、どの試験においても、食事、体重、併用薬についての情報が欠けており、症状についての記述も不十分であり、方法論的な問題がみられました。
研究②有害事象(アトピー症状)
1,472例を調査した結果、461例(31.3%)がローヤルゼリーを摂取していました。9例は喘息、湿疹、鼻炎を含むアトピー症状を有しています。300例の慢性気管支喘息を治療中の患者と、質問票に対する回答者176例に皮膚テストを実施しました。
回答者の7.4%が精製ローヤルゼリーに陽性反応を示し、喘息患者の7.3%が同じく陽性でした。ローヤルゼリーに陽性だった36例のうち1例を除いて、すべての人が他の一般的なアレルゲンにもアトピー性反応を示しました。
- 胃潰瘍に経口で用いられている、中高年層の食欲不振に効果がある、塍臓炎に対して経口で用いられている等の報告があります。
- 不眠症に経口で用いられている、不定愁訴、不眠症に対して効果があった等の報告があります。
- 免疫能の向上を目的として経口で用いられています。
- マウスに移植した腫瘍や白血病に対する強カな成長阻害があり、これは腹膜のマクロファージの食効果を強めることによる、抗炎症効果、放射線防御効果があるとの研究があります。
- 中国の伝統医学ではリウマチ・糖尿病・慢性肝炎・関節炎・高血圧・貧血・子供の栄養失調・老人の衰弱等に効果があるとの報告があります。
- 更年期障害を始めとする不定愁訴に対して効果があった、性欲・性機能の減退に効果がある、慢性前立腺炎に効果がある等の報告があります。
- 腎疾患に経口で用いられているとの報告があります。肝臓障害に対して経口で用いられている等の報告があります。
- 肌荒れ、皮膚障害に経口または外用で用いられている、骨折に経口で用いられているとの報告があります。
- 気管支喘息に対して用いられているとの報告があります。
- 毛髪の成長促進に外用で効果があるとの研究があります。
- 乳幼児の発育促進効果がある等の報告があります。
- バクテリアに対し、試験管内試験および動物実験で弱〜強度の抗菌効果を示すとの研究があります。
- マウスを用いた実験から老化防止に効果があるとされる中高年層の老化防止、若返り効果がある等の報告があります。
- 高脂血症に経口で用いられている、イヌの大腿部動脈に対して一過性の血管拡張効果を示す、これはアセチルコリンの存在によるものです。
- 動物実験では、なんらかの抗腫瘍効果および動脈硬化の原因となるアテローム発生の抑制効果を持つ可能性があるという結果もあるとの報告があります。
- その他、一般的な栄養薬、強壮薬として民間で用いられてきました。
ハチ毒アレルギーとローヤルゼリーアレルギーには関係ある?
ハチ毒抗原とローヤルゼリーの蛋白に対するIgE抗体の反応性には直接の関係が認められなかったですが、ローヤルゼリーの固体部分にハチ毒抗原に対する血清の1/3以上の活性が認められました。
呼吸器あるいは食品アレルギーを有した被験者の半数以上が、ローヤルゼリー蛋白に対するIgE抗体反応性を示しました。