アルファルファの概要
アルファルファ(別名ウマゴヤシ、ムラサキウマゴヤシ、英 alfalfa、Medicago sativa)まめ科[ウマゴヤシ属]
日本ではサプリメントとして用いられることもありますが、主に食用とされます。種子の食用は副作用の可能性が高まるので避けたほうがよいでしょう。大量の摂取も避けましょう。
アルファルファは近東原産で、飼料用の作物として、また窒素固定効果により牧草地を肥沃に改良する作物として有用です。深い主根をもつ多年生草本でクローバーに似た葉を持ちます。使用部位は地上にのびる部分。市販アルファルファ栽培種の系統には亜種も含まれます。
アルファルファの葉は野菜として生または調理して食します。栄養素に富んでおり、ビタミンKやカロチンの原料としても利用されます。適切に摂取すれば安全であり、コレステロール関連の循環器系、エストロゲン関連のホルモン系への生理作用が期待されます。
アルファルファにはコレステロール値を低下させる作用があるようですが、生の種子および芽はカナバニンと呼ばれるトキシンを含有します。カナバニンは全身性エリテマトーデス(SLE)、および汎血球減少(症)と関連があります。
日本の食薬区分では全草が「非医薬品」に分類され、広く食用に供されています。しかし、種子はカナバニンを多く含み、大量に摂取すると副作用を生じると報告されています。また。芽にも含まれるという報告があるので注意を要しますが、その他の地上部にはカナバニンの含有量が少ないとされています。
アルファルファの成分
アルファルファの効果効能
アルファルファの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
「コレステロール、止血、貧血、動脈硬化、内痔核、消化、食欲、便秘、更年期、子宮筋腫、月経前症候群、PMS、母乳分泌、エストロゲン様効果、糖尿病、利尿、解毒、肝臓、関節炎、歯墓、放射線療法のダメージ、体重、喘息、花粉症、抗酸化、疲労回復、滋養強壮」
アルファルファにはコレステロール降下効果がある、コレステロール値を下げることを示唆するヒト試験が報告されています。根部のサポニンはサルにおいて、高コレステロール食摂取による血漿コレステロールの増加を妨げることが示されました。
アルファルファ地上部のサポニンは血漿コレステロールを下げ、その腸内吸収を減少させ、排泄物中へ中性ステロイドと血管系胆汁酸の排泄量を増加させ、アテローム性動脈硬化を防止する効果があることが示されている等の報告があります。
アルファルファには止血効果がある、血小板減少による紫斑病に経口で用いられている、貧血による衰弱に効果がある等の報告があります。
アルファルファは内痔核に効果がある、消化不良に効果がある、便秘に効果があるとされる等の報告があります。
アルファルファは蠕動運動を活発化し、食欲増進の目的で効果があるとの報告があります。
アルファルファは喘息や花粉症に効果があるとの報告があります。
アルファルファはホルモン系に効果する、エストロゲン様活性をもつ成分を有する、更年期障害、子宮筋腫、月経前症候群(PMS)に効果がある、伝統医薬では催乳薬として用いられている等の報告があります。
アルファルファは糖尿病に用いられているとの報告があります。
アルファルファには利尿効果があるとの報告があります。
アルファルファには解毒効果がある、肝機能亢進に効果がある等の報告があります。
アルファルファは関節炎に効果があるとの報告があります。
アルファルファは喘息に効果があるとの報告があります。
アルファルファエキスは歯列矯正後の歯茎の回復に有効といわれているとの報告があります。
放射線療法後のダメージの回復にアルファルファエキスが有効であるといわれている、活カ、体重を増加させる栄養食品としてその他用いられている、アルファルファ種子から単離したケルセチンは抗酸化効果があることが示されている、疲労回復、滋養強壮に効果があるとされる等の報告があります。
アルファルファの副作用・毒性
アルファルファの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
アルファルファの副作用としては、光過敏症が知られています。またクロルプロマジン服用に由来する光過敏症の副作用を増長させることがあります。
アルファルファの他の副作用としては、痒み、発疹、胃腸障害などが報告されています。
アルファルファ種子をカプセルあるいは茶で摂取後、痒みを伴う、まだらの紅斑性発疹が6例報告されています。
1日に120g以上のアルファルファの種子を摂取すると、胃腸症状(放屁、下痢、腹部不快感および食欲不振)が発現することがあります。
全身性エリテマトーデス患者は発作を起こすためアルファルファは禁忌です。その他リウマチなど自己免疫疾患患者には使用してはなりません。
アルファルファの成分として含まれるプロフィリンは肝機能に影響して光過敏症の原因になることがあります。
アルファルファ種子の過剰摂取は巨脾症を伴う可逆的汎血球減少症を引き起こす可能性があり、おそらくカナバニンの効果のためです。
アルファルファは妊娠中、授乳中でも通常の量であればおそらく安全と考えられます。エストロゲン様効果がある物質を含むため、過剰摂取は避けることとされています。
アルファルファはサポニンを含むので、ビタミンEと併用するとビタミンの吸収に影響を与えることがあります。
アルファルファはビタミンKを多く含むハーブ(パセリ・オオバコ・イラクサなど)とともに摂取すると、抗凝血薬を服用している人では血液凝固能が増すことがあり、また過剰摂取で抗凝血薬の効果に影響を与えることがあります。
アルファルファは経口避妊薬の効果や、ホルモン治療に過量摂取が影響を与えることがあります。エストロゲン様効果があるので、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫の患者は摂取を避けましょう。種子の摂取により、全身性エリテマトーデスの潜在症状があらわれることがあります。アルファルファの芽は食べても問題ありませんが、毎日続けて摂取することは避けるべきです。また、自己免疫疾患の患者は、アルファルファの芽を摂取すべきではありません。
アルファルファの毒性を避けることは調理により可能になります。生の種子と芽を避けることが鍵です。加熱は抗コレステロール血症作用を損なわずにアルファルファの毒性物質を変性させるようです。
また、アルファルファの脂質低下作用について検討を必要とする症例がありますが、アルファルファのその他の成分にも問題がありえます(再生不良性貧血を呈した例に関する作用メカニズムは不明です)。
1997年7月、米国において水耕栽培のアルファルファによる腸管出血性大腸菌0-157が原因とみられる集団食中毒が発生しました。日本でも注意が呼びかけられましましたが、これまでのところ、日本ではアルファルファを原因とする報告はありません。
研究・エビデンス
研究①アルファルファと高脂血症(コレステロール値)
15名の高脂血症患者に加熱処理したアルファルファ種子を8週間摂取させたところ、血中コレステロール値が有意に低下しました。
研究②アルファルファと有害事象・汎血球減少症
コレステロール低下試験のー環として、多量のアルファルファサポニン(最高1日160g)を摂取していた59歳の男性に、汎血球減少がみられました。全身性エリテマトーデス(SLE)鎮静期のSLEの女性例で、アルファルファの錠剤を長期間摂取後SLEの症状が再活性化しました。、SLE既往歴26年の40歳の女性が、1日15疑のアルファルファを9カ月間摂取したところ、SLEの症状が現れました(少なくとも4年間は症状がなかった)。
研究アルファルファと③有害事象・全身性エリテマトーデス(SLE)
4例の患者が、3週〜7カ月にわたり1日12〜24錠のアルファルファを摂取したところ、可逆性全身性エリテマトーデス(SLE)様症状(関節痛、筋痛および皮疹を含む)を認めました。
研究④アルファルファと有害事象・尿酸値
コレステロール低下試験で、熱処理したアルファルファ種子を1日120g摂取していた患者において、血漿中の尿酸値が上昇しました。アルファルファは感受性の強い人に対して、痛風の発作を引き起こすプリン体を含んでいる可能性があります。