唐辛子の効果効能、副作用 胃腸障害がある場合は注意

唐辛子 胃腸障害

唐辛子(トウガラシ)の概要

唐辛子 概要

唐辛子

唐辛子、なす科[トウガラシ属]

トウガラシの種類はさまざまですが、red pepper(レッドぺッパー)、hot pepper(ホットぺッパー)、Chillypapper(チリペッパー)、tabasco pepper(タバスコぺッパー)、paprika(パプリカ)、cayenne(カイエン)、Habanero pepper(ハバネロペッパー)などがあります。

唐辛子はダイエットを標榜するサプリメントに用いられることがあります。色素は着色料、水性抽出物は製造用材、抽出物は苦味料などとして用いられます。

唐辛子は南米原産ですが、世界中でスパイスとして栽培されています。

外用での関節炎、神経痛などへの有効性、効果は、コミッションE(ドイツのハーブ承認委員会)やFDA(アメリカ食品医薬品局)も治療目的での使用を認めています。

経口摂取での胃腸、血管、肥満への効果についてが期待されています。

使用部分は成熟果実(辣椒〈ラッショウ〉、蕃椒〈バンショウ>)、7〜10月に成熟果実を採集し、日干しにします。日本には天文11年(1542年)に渡来、現在は広く各地で栽培されています。

トウガラシチンキとして、医療用医薬品・一般用医薬品ともに温湿布に配合されています。一般用医薬品では、外用の毛髪用剤、皮膚病治療薬などに用いられることもあります。

医療用医薬品:MS温シップ
—般用医薬品:のびのびサロンシップ温感

唐辛子の成分

■唐辛子の主な成分■

辛み成分カプサイシン(capsaicin)、ジヒドロカプサイシン、カロテノイド色素のカプサンチン、ゼアキサンチン、β‐カロテンのほかルティン(lutein)、クリプトキサンチン、ビタミンCなどを含みます。

カプサイシンは組織中のサブスタンスPを消費させ、慢性的に投与すると、カルシウムチャネルを遮断する作用によって感覚ニューロンの感受性を低下させます。

唐辛子の効果効能

唐辛子 効果 効能

唐辛子の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■唐辛子の効果効能一覧■

「静脈瘤、血液循環、高コレステロール、アテローム性動脈硬化、心臓、健胃、消化、食欲、疝痛、下痢、胃腸の解毒、神経痛、興奮、筋肉痛、育毛、捻挫、しもやけ、腰痛、関節痛、胸膜炎、筋肉の痙攣、肥満、喉頭炎、殺菌、コレラ、悪寒、歯痛、乗り物酔い、アルコール中毒」

トウガラシチンキには血管収縮効果があるが、少量では拡張効果を示す、静脈瘤に使用する、経口摂取すると末梢の血液循環刺激剤となる、血液の凝固傾向を減少させる、コレステロールを下げ、アテローム性動脈硬化を防ぎ、心臓疾患を予防する目的で使用される、心臓と循環器系の治療の補助に効果がある等の報告があります。

トウガラシチンキは辛味性健胃薬として使用される、唐辛子の成分カプサイシンに健胃効果がある、消化機能不全、食欲増進、疝痛、下痢、刺し込むような腹痛、痙攣、駆風に用いられる、辛い実は胃腸の解毒薬として効果がある等の報告があります。

唐辛子の成分カプサイシンに興奮効果がある、神経痛に外用される、外用で、痛みを一時的に抑えるのに効果があるという報告があります。

唐辛子は筋肉痛に外用される、サリチル酸と混ぜて、育毛、養毛剤に用いる、チンキ剤を脱毛予防に外用する、外用で捻挫、ひびの切れる前のしもやけ、腰痛、関節痛、胸膜炎、リウマチ、関節炎に有効とされる、大人や学童の肩や腕、背中の筋肉の痙攣に用いられるとの報告があります。

唐辛子の成分カプサイシンは適切に処方した製剤を繰り返し貼付した場合、脱感作、鎮痛、抗炎症効果を促す効果がある等の報告があります。

唐辛子は咽頭炎のうがい剤に使用されるとの報告があります。

唐辛子は指しゃぶりや爪かみを抑止するものとして効果があるとの報告があります。

唐辛子の成分カプサイシンに、体脂肪の消費を促進するホルモンの分泌を活発にする効果が見出され、肥満予防に用いられているとの報告があります。

唐辛子の煎液は弱い殺菌効果があり、とくにコレラ菌に対しては強カである、生の唐辛子の絞り汁は試験管内試験で抗菌活性を示した等、カプサイシンには殺菌効果がある等の報告があります。

唐辛子は伝統療法で歯痛に効果があるとの報告があります。

唐辛子は発熱前の悪寒、病後の衰弱、老衰に使用する、船酔い、アルコール中毒に効果がある等の報告があります。

唐辛子3〜5%添加飼料でラットを飼育すると、適度に消化器を刺激し、消化液の分泌を促し消化機能を盛んにして発育を良好にします。これは成分のカプサイシノイドのためです。

唐辛子の副作用・毒性

唐辛子 副作用 毒性

唐辛子の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■唐辛子の副作用・毒性一覧■

唐辛子は経口の場合、適切に使用する限り安全に摂取することができるハーブ、外用では皮膚に傷があるときや眼の近くでの使用は禁忌とされています。

唐辛子は消化管症状の原因となることがあります。消化器(胃腸)に効果があるとされている一方、感染症あるいは炎症のある人は経口で禁忌という場合もあります。

唐辛子を過剰に用いると胃腸炎等の副作用を起こしたり、肝臓や腎臓に障害の副作用を与えることもあります。

ドイツのコミッションEでは、外用の場合に唐辛子を2日以上連続して用いるべきではなく、再度用いる場合は14日間の間隔を空けるべきだと示唆しています。同じ箇所への継続的使用は神経に損傷を与えるおそれがあるとしています。

2歳以下の子供に唐辛子を外用で用いるのはおそらく安全ではないと考えられています。

唐辛子は妊娠中に通常の食事に入っている量を経口摂取する場合、また外用で適正に使用した場合でもほぼ安全です。ただし、授乳期に経口摂取する場合、母乳で育つ乳児に皮膚炎を起こす場合があるため、注意が必要です。

唐辛子を外用すると、ヒリヒリしたり、まれに蕁麻疹や、生の果実に触れると接触性皮膚炎を起こすことがあります。また唐辛子を吸引すると、咳や呼吸困難、鼻づまり、目の炎症、アレルギー性歯槽骨炎を起こす可能性があります。唐辛子はとくに目や粘膜を刺激します。

唐辛子は鎮痛効果のあるハーブの効果あるいは副作用を増大させることがあります。

クマリンや血小板凝集阻害薬との併用で出血のリスクが増大することがあります。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①慢性の筋肉痛や神経痛

慢性の筋肉痛や神経痛には効果があまり期待できないですが、他の治療法があわない、ヒトでのあるいは効かない人にとっては有用であろうと結論されている、FDA(アメリカ食品医薬品局)は唐辛子の成分のカプサイシンについて、この目的での外用薬の使用を承認しています。

研究②線維筋痛症

線維筋痛症45例にカプサイシン外用薬(0.025%)を4週間塗布した結果、圧痛点における圧痛がプラセボ群に比較して低下しました。視覚的アナログ疼痛スコアには有意な差はみられませんでした。カプサイシン群にのみ握カの増強が認められました。

研究③乾癖

3試験が乾癬に対するカプサイシンの有用性を示しています。痒み、落屑(皮膚がポロポロ落ちる)、紅斑の程度は2例において有意な改善を示しました。第3の報告では、複合的な乾癖スコアの減少が基剤群よりもカプサイシン群で有意でした。

研究④ヘルペス後神経痛

ヘルぺス後神経痛に罹患している高齢患者33例にカプサイシン外用薬(0.025%)
を塗布した結果、ほぼ80%にカプサイシン投与による改善が認められました。効果が現れたのは6週間後でした。

研究⑤唐辛子の胃がんリスク

唐辛子が胃癌になるリスクを増加させる可能性はほとんどないですが、研究結果は両方あります。メキシコで行われた比較臨床試験の結果では、唐辛子を摂取した群では、摂取しなかった群に比べて胃癌になるリスクがより高かったですが(年齢と性別で調整したオッズ比は5.49)、イタリアで実施された比較臨床試験では、唐辛子を摂取した群では、むしろ胃癌に対する保護作用が認められました。メキシコでの唐辛子の摂取量は非常に多い(1日約20g)ですが、全体的な胃癌発生率は低く、種々のモデル実験から、唐辛子には胃の保護作用があり、また、発癌性を阻害すると思われます。しかし、唐辛子は変異原性を有するという試験結果もあります。

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