オオバコ(サイリウム)の効果効能、副作用は? 便秘や高血圧に役立つ

オオバコ 便秘 高血圧

オオバコ(サイリウム)の概要

オオバコ 概要

オオバコ(サイリウム)

オオバコ(別名サイリウム、ハスク、シャゼンシ、シャゼンソウ、シャゼンヨウ)。(英)Psyllium、Plantagoasiatica、Plantagoovata Forsk、Plantagopsyllium、Plantaaoispaghula Roxb、exFleming、Plantagomajor。おおばこ科[オオバコ属]オオバコにはセイヨウオオバコ、オニオオバコなどの種類があります。

オオバコ(サイリウム)は全草、種子に多くの有用な効果を持つとされます。花期に車前草を採取し、日干しにします。秋に地上部を刈り、日干しにして種を集めます。使用部位は乾燥させた成熟種子および種子の外側の薄い膜になっている外皮。日本各地、サハリン、中国、東シベリア、マレーシアに分布し、高さ10〜15cm、花期は4〜9月です。

漢方としては古くからその名が見られます。咳を鎮める効果と利尿効果が知られていて、適切に摂取すれば安全です。オオバコの花期の全草を乾燥させたものを「シャゼンソウ(車前草)」、結実した花穂を採り、乾燥させて種子だけを集めたものを「シャゼンシ(車前子)」といいます。シャゼンソウは鎮咳を目的とした漢方薬に用いられるほか、市販の総合感冒薬、鎮咳去痰薬に配合されることもあります。シャゼンシは主に利尿を目的として漢方製剤に配合されます。

近年はさらに動脈硬化、高血圧に対する効果が注目されてきており、整腸効果、コレステロール低下効果などの科学的実証も進んでいます。

日本ではインド等で栽培されているオオバコ(サイリウム)種皮由来の食物繊維を成分とした整腸効果・コレステロールに関する特定保健用食品が数多く許可されています。オオバコにはいくつかの種がありますが、サイリウムとして用いられるのは、Plantagoovataが多いです。

Plantagoovataの種子および種皮は、膨潤性下剤として市販の便秘薬に配合されています。胃内容物排出速度を遅らせ、便の粘性を上げることから、下痢に有効ともされます(市販の下痢止めには配合されていない)。

オオバコ(サイリウム)を使った医薬品例

一般用医薬品:ウィズワンプラス、サトラックス

オオバコ科の植物・サイリウム種皮由来の食物繊維は、「おなかの調子が気になる方」および「血清コレステロールが高めの方」の特定保健用食品として用いられている(ゼリー飲料、スナック麵、シリアルなど)。水を吸って膨潤することから、空腹感をまぎらわすとしてダイエット補助食品に用いられることがあります。

サイリウム種皮を関与成分とした特定保健用食品に「お腹の調子を整える」旨の表示が許可されている(即席麵、スナック麵、粉末清涼飲料、シリアル、ゼリー飲料)。

サイリウム種皮由来の食物繊維を関与成分とした特定保健用食品に「コレステロールが高めの方に適する」旨の表示が許可されている(粉末清涼飲料、粉末ゼリー飲料)。

オオバコの種皮(外皮)は良好な水溶性繊維の最良の供給源です。オオバコの種子と種皮は腸内容物のカサを増す水溶性繊維の緩下薬として作用します。消化管では吸収されずに、腸管内で水分を吸収して腸の内容物の量と重さを増し、その結果、便通が促進されます。

オオバコ(サイリウム)の成分

■オオバコ(サイリウム)の主な成分■

オオバコ(サイリウム)の種子(とくに外皮に多い)には粘液が多く含まれ、その成分は蛋白質(15〜20%)、固形油脂(5〜13%)、多糖類(プランタサン(plantasan)、プランタゴムチラーゲA(plantagomucilage A)、配糖体プランタジン)、トリテルペン、植物ステロール、などです。全草には苦味配糖体オークヒン、フランタジニンなどを含みます。ビタミンA、C、K。種子・表皮はキシロース、ガラクツロン酸、アラビノース、ラムノースを含む粘液性多糖類を多く含みます(10〜15%)。オオバコ属の種皮は種子から容易にはがれ、種子全体より5倍も高い活性をもちます。

葉(ヘラオオバコの場合)はaucubin(0.3〜2.5%)を含むイリドイド配糖体、ca-talpol(0.3〜1.1%)、asperuloside、粘液(6.5%)、タンニン、フェノール性カルボン酸、クマリンエスクレチン、フラボノイドを含みます。

オオバコ(サイリウム)の効果効能

サイリウム 効果 効能

オオバコ(サイリウム)の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■の効果効能一覧■

「動脈硬化、高血圧、コレステロール、止血、便秘、肛門、痔、潰瘍性大腸炎、胃腸炎、憩室、胃腸カタル、下痢、整腸、過敏性腸症候群(IBS)、副交感神経興奮、利尿、腎臓、血尿、尿酸排泄、膿液、皮膚炎、虫刺され、眼病、結膜炎、体重、鎮咳、痰、気管支炎、肺炎、消炎、めまい、淋病、がん、結腸直腸腺腫、糖尿病、婦人病」

オオバコ(サイリウム)は軽度〜中等度の高コレステロール血症に対して、有効という報告があります。

オオバコ(サイリウム)は動脈硬化、心臓病にも効果があるとされます。

オオバコ(サイリウム)は高血圧によい、新鮮なオオバコ20〜30株を水で煎じ、1日3回摂取すると高血圧症に対して良好であった、中国では種子を高血圧に用いる(臨床試験で約50%の効果あり)、種子のアルコール抽出物は、実験的にイヌやネコにおいて血圧を低下させた、止血効果があるという報告があります。

最近の臨床研究では、親水性の粘物質の製剤は血清コレステロール、LDL-コレステロール、LDL/HDL比、トリグリセリド濃度を下げることがわかってきましたが、これは粘物質が胆汁酸と結合することにより、コレステロールから作られる胆汁酸塩を増加させる一方で、糞便として排泄させるためである等の報告があります。

サイリウム種皮由来の食物繊維を関与成分とし、コレステロールが高めの方に適する旨の表示ができる特定保健用食品が許可されています。

オオバコ(サイリウム)は過敏性腸症候群(IBS)に対して、オーリスタット(リパーゼ阻害薬)による胃腸障害の予防、潰瘍性大腸炎の再発予防に、脱肛以外の痔核からの出血を抑えるのにおそらく有効と考えられます。

オオバコの種子は30%ほど粘液を含み、それらが腸内で膨張し腸内拡張性緩下薬と、粘膜の消炎効果を持つ、胃カタル、十二指腸カタルにも効果があるとされるとの報告があります。

オオバコ(サイリウム)は外皮は通じ薬として広く使用されます。種子を使う場合もあるが、あまり多くはありません。

最近のヨーロッパの研究では、オオバコ(サイリウム)が習慣性の便秘、裂肛、痔、直腸の手術後のような軟便が望ましい時、腸の炎症や憩室の時に、また下剤の補助治療への用途が示されました。

オオバコ(サイリウム)種子を煎じて摂取消化益系すると便秘に効果がある、(夏季の)下痢止めとして種子が用いられる、インドでは伝統的に下痢に対して用いる、全草が整腸薬になる、シャゼンシを炒ったのち研いだ粉末は潰瘍および急性、慢性胃腸炎に対して効果のあることが知られているという報告があります。

配糖体プランタジンは胃の消化液分泌をよくする、胃腸病に効果がある、裂肛患者、肛門。直腸の手術後、妊娠中に便秘解消・軟便化を目的に摂取される、赤痢に使用される等の報告があります。

サイリウム種皮由来の食物繊維を関与成分とし、おなかの調子を整える機能が表示される特定保健用食品が許可されています。

オオバコ(サイリウム)種子のアルコール抽出物は副交感神経興奮効果がある、頭痛に効果がある等の報告があります。

2型糖尿病にオオバコ(サイリウム)がおそらく有効であろうとの示唆があります。2型糖尿病および高コレステロール血症の人において、食後の血糖値および総コレステロール、LDL-コレステロールを低下させるという知見があります。健常人の血糖値は下げないといわれています。

オオバコ(サイリウム)は婦人病に効果があるとの報告があります。

オオバコ(サイリウム)は利尿効果がある、浮腫に効果がある、膀胱炎、血尿に用いられる、オオバコの利尿効果は、水分だけでなく、尿中の尿素、尿酸や塩化ナトリウムの排泄も同時に多くする、含有成分のオークビンは腎臓の尿酸泌尿器系分泌を盛んにする、葉を(全草)利尿薬として用いる、伝統的にインドでは利尿、尿道炎、腎臓障害、膀胱炎に用いる、中国では種子を血尿に用いる、漢方では尿路疾患用薬とみなされる処方に少数例配合されている等の報告があります。

虫刺されやいらくさのトゲが刺さったときに、オオバコ(サイリウム)の生の葉をつぶして塗ると有効である、伝統的に毒ツタや虫刺されに生の葉を局所的に使用する、シャゼンシの油膏が膿液の生成を抑制し、皮膚の炎症を軽減させることが知られている等の報告があります。

オオバコ(サイリウム)は目の病気にも用いられる、種子は眼病に煎ずる、結膜炎に種子を摂取する等の報告があります。

オオバコ(サイリウム)の成分のプランタジンには鎮咳効果があるが溶血性がないため、子供の咳に最もよい、プランタジンは呼吸中枢に効果して呼吸運動を深く、緩徐にする、鎮咳効果を示すほか、分泌神経を興奮させて気管、気管支の分泌呼吸器系を増加させることが知られているとの報告があります。

オオバコの濃縮煎剤を慢性気管支炎の咳に用い、治癒率80%であったとの報告、咳を鎮め、痰を取り除く、種子を鎮咳薬として用いる、肺炎に全草が用いられる、肋膜炎、蓄膿症に効果がある等の報告があります。

オオバコ(サイリウム)は体重のコントロールに摂取されるとの報告があります。

インドでは伝統的に、オオバコ(サイリウム)が淋病に対して用いられるとの報告があります。

オオバコ(サイリウム)全草だけでなく種子もがんの治療に用いられるという報告があります。

オオバコ(サイリウム)は消炎効果がある、めまいに種子を摂取する、発熱に効果がある等の報告があります。

オオバコ(サイリウム)は下痢患者において、胃内容物排出速度を遅らせ、腸内通過時間を延長し、便の粘性を上げて硬さを改善します。また、頻発性あるいは急性な下痢の際に炭酸カルシウムやリン酸カルシウムとの併用効果は、ロペラミド(医薬品)に匹敵すると考えられます。

オオバコ(サイリウム)種皮摂取の臨床的な意義については結論が出ておらず、過敏性腸症候群(IBS)に対して無効とする報告もあるが、大多数は便秘や下痢の解消、腹痛の軽減、体調の回復に有効としています。

オーリスタット服用に由来する鼓腸、腹鳴、胃痙攣、便失禁等胃腸障害に対する副作用を改善しますが、オーリスタットの体重減少効果は低下させないと思われます。

10gのオオバコ(サイリウム)種子を1日に2回摂取した潰瘍性大腸炎の再発予防の効果は、メサラミン(医薬品)500mgを1日3回服用に匹敵するという報告があります。

脱肛以外の痔核からの出血に対して、サイリウム単独あるいはゴムバンド使用の際よりも、出血を早く止めることができたという報告があります。

サイリウム1日3.5gを摂取しても再発性の結腸直腸腺腫の再発のリスクを低減しなかったという報告があります。むしろカルシウム高摂取者においてはリスクが高まるという知見もあります。結腸直腸腺腫におけるサイリウムとカルシウムの関係については、さらなる研究が必要です。

オオバコ(サイリウム)の副作用・毒性

オオバコ 副作用

オオバコ(サイリウム)の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■オオバコ(サイリウム)の副作用・毒性一覧■

オオバコ(サイリウム)は「少なくとも250mlの液体(水分)とともに摂取すること」、「腸障害には禁忌である」、「医薬品を服用した場合には、少なくとも1時間以上の間隔をあけてから摂取すること」とされています。

サイリウムは適切に用いれば、経口でほぼ安全です。サイリウム製品は1日に20gを6ヶ月まで安全であった、という報告があります。製品化されていないものは、腎障害を起こす可能性がある成分を含むことがあるので使用しないこととされています。

・標準用量:2.5-10.0g、1日2-3回。
・最近のヨーロッバの文献では、型の判別が難しい糖尿病には禁忌。

厚生労働省は、米国で発生したサイリウム種皮、サイリウムシードガム等サイリウムを含む食品又は添加物によるアレルギーの報告を受け、「食品又は添加物には高度に精製したサイリウムを使用し、必要に応じてアレルギーの発生に関する情報提供などの適切な措置を講じるべく営業者を指導するよう」、関係方面に通知しています。

オオバコを含むダイエット補助食品(日本製)で、肝障害が1例報告されています。

米国においてサイリウム(オオバコ科の植物)種皮を含む食品の摂取によるアナフィラキシーショックの症例報告があること、また、高度に精製されたサイリウ厶製品ではアレルギーが起きにくいことを示す厚生労働省の通知があります。

オオバコの種子や種皮は、腸内容物増加による緩下薬であり、コレステロール、血糖を下げる可能性があります。

オオバコ(サイリウム)でのアレルギー反応はまれではありません。

オオバコ含有緩下薬によるアナフィラキシーショックが報告されている19例があり、2年間オオバコを摂取した42歳の女性は、痒み、斑点状丘疹、蕁麻疹が顔を除く全身に生じ、ロ腔咽頭が腫れる副作用が現れました。オオバコ摂取中止により症状がおさまり、再摂取により副作用の症状が出現しました。

オオバコの種子や種皮は常に十分な水とともに摂取しなければなりません。膨潤性緩下薬は十分な液体とともに摂取されないと腸閉塞の副作用が起きることがあります。宿便、イレウス、腸が障害を受けやすい状態のときは、オオバコを摂取してはいけないとされています。

オオバコ(サイリウム)の摂取でガスの発生と鼓腸の副作用が生ずることがあります。とくに摂取開始時に生じやすいといいます。

brittle型糖尿病(不安定型糖尿病)ではインスリンの調節を必要とする可能性があります。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①便秘

便秘に対して、サイリウム単独でセンナとの調合製品あるいはスルホコハク酸ジ-2-エチルへキシルナトリウム(便軟化剤)とほぼ同等の効果があったという知見があります。便秘傾向の12名にサイリウム種皮を4g含む食品を毎日、1週間摂取させたところ、排便量及び排便回数が有意に増加しました。

研究②高脂血症、高コレステロール

オオバコ(サイリウム)種皮あるいは種子を1日に10-12g、7週間以上摂取したところ、総コレステロール値が3-14%、LDL-コレステロールが5-10%低下したという。また6ヶ月摂取した後には、LDL/HDL比が有意に低下した等、数多くの報告があります。軽度〜中等度の高脂血症者26名を対象とした6週間の試験で、サイリウム種皮を含む食品を摂取したところ、総コレステロールが有意に低下しました。

研究③2型糖尿病

2型糖尿病患者125例に6週間の食事カウンセリングの後、オオバコ(5g、1日3回食前投与)の6週間摂取とプラセボを比較しました。その結果、体重に変化はありませんでした。オオバコ摂取後HDLコレステロールは有意に増加しましたが、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、空腹時血糖値は有意に減少しました。重篤な有害事象・副作用はみられませんでした。

研究④痔

痔症状のある患者52例にオオバコ種子繊維(1日20gを水に混ぜて数回摂取)を6週間投与した結果、オオバコは排便時の出血と痛みを有意に減少させました。痒み、肛門部分泌物および脱肛については両群間に差はありませんでした。オオバコ投与群では84%に症状の消失、あるいは改善がみられましたが、プラセボ群では52%であり、この差は有意でした。

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