アロエの効果効能、毒性、副作用は?傷の治癒や下剤作用も

アロエ 傷の治癒 下剤

アロエの概要

アロエ 概要

アロエ

アロエ(キュラソーアロエ、ケープアロエ、キダチアロエ)(英 Aloevera、Barbadosaloe、Curacaoaloe、AloeferoxMill、Capealoe)ゆり科[アロエ属]

アロエは古代エジプト時代からカタルの治療に使われていました。とくに経口摂取時の便通改善効果や外傷の治癒を促進するなどの外用の効果もよく知られています。

使用部分は葉、樹液。厚い表皮の下にある特殊な細胞に存在する樹液が薬剤としてのアロエとなります。必要なときに葉をすりおろし使用します。

日本では民間薬としてはキダチアロエを用います。葉の中央にある柔組織には粘性質及び製法性のゲルが含まれており、アロエゲルが製造されます。日本では1930年代に導入されました。漢方では蘆会(ロカイ)、または蘆薈(ロエ)と呼びます。

栽培が簡単なため民間薬としての使用も幅広いです。国内外の一般家庭で広く利用されている民間薬用植物です。ただし、多量の長期間摂取、妊娠中や月経時、腸の病気、12歳以下の子供の摂取は注意が必要です。キュラソーアロエとケープアロエについてはコミッションE(ドイツのハーブ承認委員会)で治療目的での使用が承認されています。

アロエの葉の液汁にはアロインが含まれます。この部分は「医薬品」にも区分されますが、アロイン自体も食薬区分上「医薬品」に分類されています。砂漠に生息する多肉多汁植物です。

Aloevera(アロエべラ)のゲルは葉内の粘液性ゲルを指します。アロエは葉の液を乾燥させたものを指します。

アロエを含む医薬品例

医療用医薬品:アロエ末
一般用医薬品:アロエ錠、新サラリン

日本薬局方に収載されている「アロエ」は、AferoxMillerなどの葉の液汁を乾燥したものです。一般用医薬品では、下剤、胃腸薬、傷薬(外用)として用いられます。

日本でよくみられるのはキダチアロエで、サプリメント、飲料、化粧品、スキンケア用品などに用いられます。

アロエべラも、サプリメント、飲料、化粧品などに広く利用されています。アロエの葉肉を使用したヨーグルト、フルーツ缶詰なども販売されています。

アロエべラ抽出物、キダチアロエ抽出物は食品添加物(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料)としても使われます。

アロエは安息香酸チンキ混合物の原料として公認されています。

アロエの成分

■アロエの主な成分■

アロエ類はいずれも同様の成分を持ち、使い方も同じです。薬用アロエ(アロエの葉から得られる苦い汁を濃縮したもの)にはアントラキノン配糖体アロイン(aloin)またはbarbaloin)、アントラキノンのアロエエモジン(aloe-emodin)、サリチル酸化合物(salicylatecomponents)、乳酸マグネシウム(magnesiumlactate)、樹脂を含みます。

ゼリー状物質にはグルコマンナン、多糖類(ぺクチン、へミセルロース、グルコマンナンアセマンナンおよびマンノース誘導体)のほか、ステロール(ルぺオール、カンぺステロール、β-シトステロール)、ステロイド、有機酸、酵素、抗生物質、アミノ酸、サポニン、ミネラル、タンニンも存在するといわれます。なかでもアロインは苦味成分で、緩下活性、殺菌効果を有します。

アロエの効果効能

アロエ 効果 効能

アロエの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■アロエの効果効能一覧■

「静脈瘤、出血、苦味健胃薬、便秘、食欲、消化性潰瘍、大腸炎、痔、痙攣、抑うつ、多発性硬化症、喘息、アレルギー、免疫力、寄生虫、子宮、無月経、糖尿病、緑内障、皮膚再生、やけど、日焼け、外傷、乾癬、湿疹、抗炎症、滑液包炎、関節炎、知覚消失、かゆみ、真菌、ウイルス、がん、かぜ」

アロエは静脈瘤、出血に経口で効果があるとの報告があります。抗トロンボキサン活性を有します。

アロエは便秘に強カな下剤として用いる、緩下薬として、クロウメモドキ、センナなどの他の便通剤とともに用いられる、とくに鉄剤使用に伴う慢性便秘などに効果があるとの報告があります。この目的にはアロエの摂取はほぼ有効です。

アロエの主な成分アロインが大腸粘膜を刺激する、アロインはプロドラックの形で配糖体として取り込まれ、腸内細菌に分解されて活性型のアロエエモジンアントロンになりこれが緩下活性を持ち、さらにアロエパウダーを摂取すると活性代謝産物であるレーイン(rhein)の尿中排泄が増えることから、これも効果に関与していると思われます。

習慣性便秘、熱積の便秘にアロエを含む更衣丸を用いる、生のすりおろしを苦味健胃薬として摂取する、健胃効果がある、食欲不振に使用するとの報告があります。

アロエは胃潰瘍、大腸炎に経口で効果がある、アロエウルシンに抗潰瘍効果が見出された、ドイツでは濃縮乾燥アロエ葉汁を、肛門裂傷、痔、直腸手術後、常習の便秘などの排便を容易にするために、また便を軟らかくしたい症状のときに効果がある等の報告があります。

アロエは抑うつ、多発性硬化症に経口で効果がある等の報告があります。

アロエは葉、ゲルともに喘息に経口で効果がある、抗アレルギー効果がある等の報告があります。

アロエの免疫機能活性成分として、アロエマンナン、アロミチン、アロエレクチンなど多数の有効成分が新たに報告されています。

アロエは子宮を刺激する、無月経に摂取される等の報告があります。

アロエは葉、ゲルともに糖尿病に摂取されるとの報告があります。

アロエは治癒促進効果がある、抗炎症効果がある、損傷した組織にしみこみ、痛みを緩和し、抗炎症効果を示し、毛細血管を拡張し、傷への血液の補給を増加させる、皮膚の再生を促進する、外用薬としてやけど、日焼け、外傷、湿疹、虫刺され、爪嚙みの予防に有効である、エキスまたはアロインは日焼け止めとして用いられる、ゲルと薬用アロエは保湿剤、皮膚軟化薬、傷治療薬として用いられる等の報告があります。

アロエのゲルは清涼飲料としての摂取で、炎症、関節炎、知覚消失、かゆみに効果がある等の報告があります。

乾癖を含む種々の状態に対してアロエべラは、臨床的な効果がある可能性は否定されていません。

アロエは葉、ゲルともに喘息に経口で効果があるとの報告があります。

アロエは緑内障に経口で効果があるとの報告があります。

アロエは真菌感染を予防する、かぜに摂取される、全葉のメタノール抽出物はウイルスに対する活性があるといわれている、アロエエモジンは抗ウイルス(単純へルぺス1、2型)活性があると報告されている等の報告があります。

アロエのアルコール抽出物に抗がん活性があると報告されているとの報告があります。

アロエは抗炎症効果がある、抽出エキスが肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制するという報告があります。

アロエは腸内寄生虫の駆除に有効である等の報告があります。

最近の薬理活性研究と臨床研究により、アロエはやけど、凍傷、感電による皮膚損傷や、皮膚の細片の生理機能、動脈内の薬物弊害などから起こる進行性の皮膚の虚血を防ぐことから、傷の治癒を促進し、熱による障害、種々の柔組織の損傷の治療に有効であると結論されました。

アロエの副作用・毒性

アロエ 副作用 毒性

アロエの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■アロエの副作用・毒性一覧■

アロエの葉から得たゲルは、適切に使用した場合は概ね安全に摂取することができるとされています。

外用では、開腹手術または帝王切開分娩の傷の治癒が遅れることがありますが、短期間、適切に用いればおそらく安全と考えられています。

内鞘の葉を乾燥させた液剤は、授乳中には使用しないこと、8-10日間を超える期間
の使用も禁忌、妊娠時、月経時には用いないこと、12歳以下の子供も禁忌とされています。

起こりうるアロエの副作用としては、経口で腹痛、さしこみが知られています。長期摂取では、下痢(ときに血便、ときに下血をともなう)、低カリウム血症、アルブミン尿症、血尿、腎炎、体重減少、筋力低下などの副作用が起こることがあります。

標準用量は就寝前に50-300mgを1回で、過剰摂取(1.0g以上を毎日、5-6日間)は結腸の穿孔と出血を伴う下痢や腎臓障害等の副作用を起こすことがあります。死亡例も1例あります。1日1gを数日摂取で致死量です。

アロエは現代においては一般的には下剤としては用いるべきでないと考えられています。
主な成分のアグリコンやアロインはバクテリアおよび哺乳類テストに対し変異原性をもつという実験結果があります。腎臓障害には禁忌です。

月経以外の出血時、腹痛、嘔吐、虫垂炎の時にはアロエを用いないこととされています。

過敏性大腸症候群及び内痔核、クローン病の患者にアロエを使用してはなりません。

強心配糖体を含むハーブや強心配糖体薬との併用で、アロエの毒性を増加させることが考えられるので注意します。

トクサやリコリス、また緩下効果のあるハーブ、コルチコステロイド、利尿薬とアロエの併用で、低カリウム血症の副作用がより起こりやすくなることが考えられます。

抗不整脈薬とアロエの併用で、アロエの毒性を増す可能性があります。

アロエゲルは誤って経口摂取すると、葉などの摂取と同様の副作用、相互作用を示すので注意しましょう。アロエを使用した食品で、おなかがゆるくなることがあるとして、注意が呼びかけられています(キダチアロエを使った健康食品)。

アロエの葉はアントラキノンを含み、強い緩下作用があります。軽症の傷や熱傷の治療に外用薬として使用される葉の内部に存在するゲル(ゼリー状の物質)は、安全性が高く治癒を促進することがあります。しかし深い傷や酷い熱傷には使用してはなりません。

アロエの葉の抽出物は子宮の収縮や流産を起こすことがあります。アントラキノンは母乳中に分泌される可能性があります。

アロエの葉の抽出物は悪心、嘔吐、下痢、脱水症状、イレウス、炎症性腸疾患、腸閉塞、腹痛や腎疾患がある場合には使用してはなりません。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①乾癬

乾癬を含む種々の症状に対するアロエべラの効果を検討した1件の試験からは、有効性、効果に関する明らかな科学的根拠は見出されなかったが、臨床的に意味のある効果がある可能性は否定されなかったといいます。

研究②糖尿病

血糖降下薬を服用していない成人糖尿病患者72例に1回に大さじ1杯のアロエべラゲルを1日2回、42日間摂取させたところ、血糖とトリグリセリドが有意に減少しました。

研究③傷の治癒

アロエを使って処置をした顔面にははっきりとした血管収縮と浮腫の後退がみられ、アロエを用いて処置した顔面はすべての患者で、24〜48時間でより早く傷が治癒しました。治療5〜6日後には、アロエで治療した顔面には、治療しなかった顔面と比べ約2倍新しい表皮が形成されていました。患者は治療開始当初アロエゲルによる軽度のほてりを感じましたが、ゲルを冷やすことによって治まりました。

研究④動物実験

動物実験では、アロエべラゲルは傷の治癒と炎症に効果が認められました。線維芽細胞の増殖および毛細血管新生の促進が認められました。凍傷でも有用な効果がみられアロエゲルの構成成分であるアセマンナンは、アフタ性口内炎の治療に有効であることがわかっています。

作用メカニズム

アロエの葉中のアントラキノン配糖体は、大腸まで変化せずに到達する強カな緩下薬です。

腸内細菌叢が0-配糖体と、これより少ないがひ配糖体を活性のある代謝産物、とくにアロエ-エモジン-9-アントロンに分解します。これらの代謝産物は刺激性の緩下薬として、ナトリウム-カリウムポンプを抑制し、粘膜を刺激しクロライドを分泌させて結腸内の輸送を加速させます。

アロエにはブラジキニンを阻害するカルボキシぺプチダーゼが含まれます。アロエべラのゲルや抽出物はアラキドン酸を抑制します。アロエ中にはサリチル酸が存在します(また、エモジン、アロインおよびアロエ-エモジンはサリチル酸に分解される)。

これらの成分が、プロスタグランジンの生成を低下させることが知られています。アロエ中の乳酸マグネシウムは、肥満細胞中でのヒスチジンのヒスタミンへの転換を抑制します。

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