オタネニンジン(朝鮮人参)の効果、副作用 多種多様の効能を持つ生薬

オタネニンジン 生薬

オタネニンジン(朝鮮人参)の概要

朝鮮人参

オタネニンジン(朝鮮人参)

オタネニンジン(別名 朝鮮人参、高麗人参、田七人参)(英 Chinese ginseng,Korean ginseng)うこぎ科[オタネニンジン属]

オタネニンジン(朝鮮人参)は古来から珍重され、中国では強壮薬の王様とされる生薬です。とくに疾病、老齢、ストレスで弱った人々への強壮薬として用いられ、最近、認識能力、血糖値、感染防御などの効果を確認する研究が多数報告されてきています。

効果、副作用は体質や健康状態に影響されるとされ、摂取期間や妊娠中の摂取の可否など、安全性には諸説があります。

市場には下級品や粗悪品が出回ることもあります。エゾウコギ(シベリアニンジン)やサンシチニンジンとは若干成分や効果が異なっています。ドイツのハーブ承認委員会「コミッションE」でも承認されています。

ニンジンには種々のタイプと等級があります。これらは調製法のほか収穫地、何年物か、使われる根の部位などによって決まります。根(主根と側根)を使用し、細根は効能が劣るとされます。生育年数の長い、十分に手入れされた野生種の根が良質です。朝鮮半島、中国などの原産で、中国北東部、ロシア、日本、朝鮮半島で栽培されます。

標準用量(0.6-3g)を1日1~3回食用または茶剤として、治療目的の摂取の場合、使用期間は3週間〜3ヶ月がよいとされています。

オタネニンジン(朝鮮人参)が使われる医薬品・漢方処方

オタネニンジン(朝鮮人参)は一般用医薬品では、滋養強壮薬、ドリンク剤などに配合されています。滋養強壮や体力増強によい薬用酒として用いられることもあります。

医薬品例

—般用医薬品:パンシロン、ジキニン顆粒エース、朝鮮ニンジン末、高麗人参エキス

オタネニンジン(朝鮮人参)は漢方で良く使用されます。オタネニンジン(朝鮮人参)が使用される漢方の処方を以下に紹介します。

■オタネニンジン(朝鮮人参)が使われる漢方処方一覧■
温経湯、黄連湯、加味帰脾湯、帰脾湯、桂枝人参湯、啓脾湯、呉茱萸湯、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯、十全大補湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清暑益気湯、清心蓮子飲、大建中湯、大防風湯、竹茹温胆湯、釣藤散、当帰湯、女神散、人参湯、人参養栄湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯、半夏白市天麻湯、白虎加人参湯、获蒂飲、茯苓飲合半夏厚朴湯、補中益気湯、木防已湯、六君子湯

オタネニンジン(朝鮮人参)の成分

■オタネニンジン(朝鮮人参)の主な成分■
オタネニンジン(朝鮮人参)の成分は11種類のホルモン様サポニン(日本ではジンセノシドと呼ばれる)、精油、ステロール、デンプン、ぺクチン、ビタミンB1、B2、B12、コリン、脂肪、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、バナジウムなどです。

サポニンのジンセノシドがオタネニンジン(朝鮮人参)の主たる活性成分です。成分組成は精油0.05%(その主成分はパナセン(panacene)、β‐エレメン(β‐elemene)など)、単糖類約1.5%(D-グルコース、D-フラクトース)、三糖類(trisaccharideA,trisaccharideB,trisaccharideC)、ジンセノシド(ginsenoside Ro、Ra1,Ra2,Rb1,Rb2,Rb3,Rc,Rd,Re,Rf、Rg1,Rg2,Rh)を約4%含みます。ジンセノシドRoのサポゲニンはオレアノール酸(oleanolic acid),ジンセノシドRb1,b2,c,dのサポゲニンはプロトパナキサジオール((20s)-protopanaxadiol)、ジンセノシドRe,g1,g2のサポゲニンはプロトパナキサトリオール((20s)_protopanaxatriol)です。その他β‐シトステロール(β‐sitosterol)、β‐シトステリルグルコシド(β‐sitosteryl-glucoside)、パナキシノール(panaxynol)、パナキシドール(panaxydol)、ビタミンB群、コリン(choline)などを含みます。

オタネニンジン(朝鮮人参)の効果効能

オタネニンジン 効果 効能

オタネニンジン(朝鮮人参)の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■オタネニンジン(朝鮮人参)の効果効能一覧■

「強心、血圧、赤血球増加、貧血、高コレステロール、うっ血性心不全、出血、動脈硬化、脳梗塞、消化管運動亢進、健胃、胃部停滞感、消化、嘔吐、下痢、食欲、中枢抑制、中枢興奮、自律神経失調症、鎮痛、集中カ、持久カ、記憶カ、不眠、認識能、抑うつ、不安、神経衰弱、ひきつけ、免疫力、リウマチ、喘息、膠原病、性腺発育促進、精カ、不妊、更年期、糖尿病、血糖値、副腎皮質ホルモン、ストレス耐性、インスリン、生合成促進、利尿、ショック、肝臓、めまい、呼吸、かぜ、インフルエンザ、がん、強壮、衰弱、回復期、作業能力、疲労回復、スタミナ、発熱、抗炎症、抗酸化、ほてり、二日酔い、胃炎、大腸炎」

オタネニンジン(朝鮮人参)は強心薬として用いられる、含水エタノールエキスは血圧降下効果を示す、含水エタノールエキスは赤血球数及びへモグロビン増加などの効果が報告されている、貧血に用いられる、コレステロール低下効果がある等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)はうっ血性心不全の血液循環を改善する、出血性の症状に経口摂取される、民間で内出血、鼻血に用いられる漢方では臨床的に動脈硬化、高脂血症、脳梗塞に応用される、コウジン(紅参)は末梢血管循環改善効果をおし、冷え性などを改善する可能性がある、低血圧、貧血に用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は健胃、食欲不振などに用いられる、胃の衰弱による新陳代謝機能の低下に振興薬として用い病弱者の胃部停滞感、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振などに効果があると報告されています。

オタネニンジン(朝鮮人参)は胃炎、嘔吐、大腸炎に経口で用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)にはジンセノシドRb群に中枢抑制効果、Rg群に中枢興奮効果がある、鎮痛薬として用いられる、神経痛、頭痛に経口摂取される、集中カと持久カを向上させると指摘されている、集中カ、記憶カ、仕事の能率を向上させるために経口摂取される、民間で健忘症に用いられる、不眠などに経口摂取される等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は認識能力を向上させるのにおそらく有効であるとの報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は抑うつ、不安、神経衰弱に用いられる、ジンセノシドRb群は抗不安効果をもつ、ひきつけに用いられる、民間で痙攣に対して用いられる、漢方では臨床的に自律神経失調症に用いられる等の報告があります。

多糖類は、コブラ毒を腹腔内投与したモルモットの免疫機能を正常にする効果を示した、オレアノール酸は実験動物では抗アレルギー効果があった、免疫能を高めるために用いられる、喘息、リウマチに用いられる、漢方では膠原病にオタネニンジン(朝鮮人参)が使用される等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)はED(勃起不全)に用いられる、精カ増進に用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は不妊に用いられる、民間で、妊娠または出産の困難に対して用いられる、漢方では臨床的に更年期障害に用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は更年期のほてりなどに用いられます。

オタネニンジン(朝鮮人参)の水性エキスは血糖降下効果がある、糖尿病に用いられる、含水エタノールエキスは副腎皮質ホルモンのひとつであるグルココルチコイドを分泌させる効果があり、種々のストレスに対し副腎皮質機能の強化に重要で、血糖降下効果などもある、ニンジンのサポニン分画に血糖値降下効果がある、肝グリコーゲン値の減少効果、コレステロール、脂質、DNA、RNA、タンパク質の生合成促進効果がある、含水エタノールエキスはインスリン効果を増強する等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は利尿薬として経口摂取されるとの報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)の水性エキスは肝RNA合成促進効果がある、試験管内試験で肝臓解毒効果がある等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)はめまいに用いられるとの報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)の含水エタノールエキスは呼吸促進効果があるとの報告があります。

ニンジンのサポニン分画に性腺発育促進効果があるとの報告があります。

インフルエンザワクチンとオタネニンジン(朝鮮人参)の併用で、かぜやウイルス性感冒の予防におそらく有効と考えられます。かぜや流感の発症を有意に抑えたという報告かあります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は嚢胞性線維症における、シュードモナス感染に対して経口摂取で用いられるとの報告があります。

がんの予防、がんに対する治療効果、ジンセノシドRb群は抗腫瘍効果をもち、がんに対してオタネニンジン(朝鮮人参)が用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は疲労衰弱時の活性化及び衰弱予防に、また作業能力と集中カの低下した時に、あるいは病後の回復期に対する強壮薬としてドイツのコミッションEより承認されています。

オタネニンジン(朝鮮人参)は強壮薬として用いられる、病後の滋養回復、疲労回復、スタミナ増強、老化予防に効果がある、衰弱、回復期などに用いられる、人参のサポニン分画に作業能力増進効果、抗疲労効果などがある、疲労回復に用いる、慢性疾患に経口摂取する、作業能力と集中カを上げる、肉体的また運動時のスタミナを高めるために経口摂取される等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)はストレス、ショックに経口摂取すると有効であろうとの報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は炎症を抑えるため、また発熱に用いられる、ジンセノシドRb群は解熱効果をもつ、また微弱な抗炎症効果をもつ、薬用ニンジンは試験管内試験でヒトの赤血球に対して抗酸化効果を有する、二日酔いの治療薬として用いられる等の報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)で認識能力が向上したという予備的な知見があり、イチョウ葉エキスと併用して記憶カが向上したという知見もあり、イチョウ葉エキスと併用して記憶カが向上したという知見もあり、条件が整えば一定の効果が発現する可能性があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)は2型糖尿病に対して空腹時血糖を下げたという知見があります。

オタネニンジンとマルチビタミン・ミネラルとの併用は、ストレス軽減に役立つという報告があります。

疫学的調査によると、オタネニンジン(朝鮮人参)で胃、肺、肝臓、卵巣、皮膚のがんの発生率が低下する可能性があることが報告されています。

げっ歯類を用いた多くの動物モデルで、オタネニンジン(朝鮮人参)が固定したり冷却条件下のストレスへの耐性を上げたとの報告があります。

オタネニンジン(朝鮮人参)の副作用・毒性

朝鮮人参 副作用

オタネニンジン(朝鮮人参)の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■オタネニンジン(朝鮮人参)の副作用・毒性一覧■
オタネニンジン(朝鮮人参)は高血圧には禁忌ですが、経口で安全と考えられています。

オタネニンジンの最も多い副作用は不眠症です。

オタネニンジンの比較的まれな副作用として、過量かつきわめて長期の摂取により、不眠、神経質、下痢、閉経期の出血と緊張亢進が起こることがあります。乳腺痛、膣出血、無月経、頻脈、動悸、血圧上昇、血圧低下、浮腫、食欲不振、高熱を伴う下痢、瘙痒、バラ疹、頭痛、めまい、陶酔、狂騒が起こることがあります。

ごくまれに、脳動脈炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、脂肪肝、新生児死亡も知られています。

妊娠中、授乳中、および小児に対する安全性については十分な情報がありません。妊娠中には禁忌とするものもありますが、伝承的な使用方法と、一致しておらず、それを裏付けるデータはありません。

妊娠中の女性、40歳以下、うつ病、不安、急性炎症性疾患にはオタネニンジンを通常使用しません。摂取期間も3週間とされています。

とくに過量および長期摂取で、人によってはアレルギー皮膚症状が出ることがあります。

オタネニンジンの過剰摂取は頭痛、動悸、憂うつ、落ち着きのなさ、血圧上昇の原因となり、また性的機能の減退と体重の減少等の副作用を招くことがあります。

オタネニンジンの急性中毒症状として、かゆみ、頭痛、めまい、過高体温と出血が報告されています。3人の新生児がオタネニンジンの煎剤0.3-0.6gの摂取により中毒を起こし、1人は死亡したという報告もあります。

急性の炎症や気管支炎の時には症状を悪化させるのでオタネニンジンを使用すべきではありません。

オタネニンジンの長期使用についてはさまざまな議論があります。1970年代には、長期間使用後に高血圧、神経過敏、不眠症、エストロゲン様効果などを含む症候群が現れたという報告もありましたが、現在では、このような症候群はないと考えられています。しかし一部のヒトにおいては、短期間の摂取であっても同様の症状が起きることがあります。

コーヒー、茶、ガラナなどに含まれるカフェインと同時摂取で、オタネニンジンの効果を強めることがあります。とくにカフェイン、アルコール、苦味またはスパイシーな料理とー緒に摂取するとさまざまな副作用が出る可能性があります。

ワルファリンなど血小板凝集阻害薬、抗凝血薬服用中の患者は注意が必要です。理論的には糖尿病薬の効果を強めたり、神経系の医薬品や免疫抑制剤、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬の効果に影響を与えることが考えられます。糖尿病患者は注意して使用しなければなりません。臓器移植をした患者は併用を避けた方が良いでしょう。

オタネニンジンにはエストロゲン様効果があると思われるので、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫の患者は摂取を避けた方が良いでしょう。
オタネニンジンの摂取により、不眠、不安、下痢、皮膚発疹を起こしています。朝鮮人参の常用による高血圧も報告されています。古くから伝えられている使用禁忌として、急性の病気、発熱、生理不順、心疾患、出血性疾患があります。

オタネニンジンは古くから、特別な場合を除き、妊婦、授乳婦、小児への投与が禁じられています。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①糖尿病・血糖値への作用

2型糖尿病患者36例に薬用人参抽出物(1日100mgまたは200mg)を8週間投与した結果、気分、活カ、体調、精神運動性行動に改善を認めました。200mg投与群でHbA1cを有意に減少させ、身体活動を高めました。

研究②高血糖

健常者12例にオタネニンジン(1、2、3g)を投与した結果、時間とともに食後高血糖を減少させました。しかし投与量との関係は認められていません。

研究③インポテンツ

対象:勃起不全の男性90例にニンジン(1日1,800mg)を3カ月間投与し、トラゾドン(25mg、連日就寝前)およびプラセボと比較しました。結果、ニンジンは患者の満足度、性欲、硬直、腫脹を有意に改善し、早期腫脹減退を抑制しました。

研究④有害事象

44歳の閉経期の女性で、季節的に使用する朝鮮人参を含む中国製のフェイスクリームで子宮出血を起こしています。再チャレンジテスト4週間後に再度の出血がありました。子宮内膜生検の結果、異常な増殖パターンが認められました。

研究⑤有害事象

62歳の卵巣摘除を受けた女性で、朝鮮人参摂取によりエストロゲン様の膣スメアを認めています。摂取5週間後にエストロゲン様作用は消失しましたが、再チャレンジテスト2週間後に再発しました。エストロゲン濃度に変化はありませんでした。朝鮮人参の錠剤にはエストロゲンは含まれていなかったですが、朝鮮人参のメタノー抽出物に含まれるサポニンは、ヒト筋賭細胞基質のプロゲステロンおよびエストロゲンレセプターに強く反応します。粉末の朝鮮人参を摂取していた70歳の女性で、広範性小結節性の乳房痛が認められました。プロラクチン濃度は正常でした。摂取の中止で症状はなくなり、再チャレンジテストで再発しました。

研究⑥有害事象

朝鮮人参25gを日本酒で煮出した抽出液200mLを摂取した28歳の女性で、8時間以内に、重篤な頭痛、悪心、嘔吐、胸部圧迫が発現しました。6日後の脳血管造影では脳動脈炎が認められました。症状はその後10日で解消しました。

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