ブラックコホシュ(アメリカショウマ)の概要
ブラックコホシュ(アメリカショウマ)(ラケモサ)(英)Cimicifuga racemosa、Actaeara cemosa、blackcohosh、black snake root、bugbane、bugwort、rattleroot、rattletop、rattleweed、mac-rotys きんぽうげ科[サラシナショウマ属]
ブラックコホシュ(アメリカショウマ)は北米先住民から受け継がれる薬草であり、神経痛の治療に広く用いられていました。昆虫がこのハーブを避けることに由来して、いくつかの一般名がつけられました(bugは虫を意味する)。
北米先住民からヨーロッパの植民者に伝えられ、19世紀後半にドイツに渡りました。更年期障害、月経前症候群(PMS)などの生殖器系への効果がよく研究されています。米国では売り上げのベストテンに入る人気のあるサプリメントです。
森林地帯に成育する多年生植物で、白い穂状花を持ちます。使用部分は根と根茎(アメリカショウマ)。根茎は秋に掘り出し、水洗後、ひげ根を除いてから日干ししたものを使用します。米国メイン州、オンタリオ州などに分布。多年草で高さ75cm〜2m。花期は6-8月。
原産は北米ですが、ヨーロッパおよびアジア北部にも生育しています。
美容や更年期症状など、女性向けのサプリメントによく用いられます。
ブラックコホシュの成分
ブラックコホシュの効果効能
ブラックコホシュの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
「高血圧、血管拡張、消化、鎮痛、鎮静、抗痙攣、舞踏病、神経症、月経痛、分娩促進、更年期障害、月経困難症、月経前症候群、PMS、無月経、ホルモン調節、血糖値、筋肉痛、関節炎、リウマチ、咬み傷、耳鳴り、気管支炎、咳、喘息、喉の痛み、解熱、抗炎症、強壮」
ブラックコホシュは血圧を下げ、血管を広げる、降圧効果が報告されています。樹脂は動物に対して血圧降下効果、ヒトに対して血管系は末梢血管拡張効果を有するとの報告があります。
ブラックコホシュは消化不良に効果があるとの報告があります。
アメリカショウマは鎮痛によく、煎液を使用する、神経痛、頭痛に用いる、うずき、痛みを鎮める、神経系抗痙攣効果がある、(伝統的に)鎮静薬として用いる、チンキは伝統的に舞踏病、神経症、腰痛に用いられる等の報告があります。
ブラックコホシュには抗痙攣効果があるので、月経痛、出産時に有効、子宮収縮効果がある等の報告があります。
ブラックコホシュは月経、更年期障害、分娩、産後の痛みの緩和に経口摂取する、更年期障害に用いられる等の報告があります。
ブラックコホシュはエストロゲン様効果があるので、無月経に用いられる、月経困難症、子宮痙攀などの月経不順に用いる、月経前症候群(PMS)に対して用いられる、(チンキは伝統的に)分娩促進に効果がある等の報告があります。
ブラックコホシュにはサポニンを含むのでホルモン調節効果がある、動物に対して血糖減少効果を示している等の報告があります。
ブラックコホシュは筋肉痛、関節炎に用いる、関節炎、リウマチにはミツガシワやパセリと合わせることが多い、チンキは伝統的にへビの咬み傷に用いられる等の報告があります。
ブラックコホシュは耳鳴りの治療に用いられるとの報告があります。
ブラックコホシュには抗炎症効果があるので、呼吸器系の治療に役立っている、気管支炎に使用する抗痙攣効果があるので、喘息や百日咳の治療薬となる、咳に用いられる、喉の痛みに用いられる等の報告があります。
アメリカショウマは解熱によく、煎液を摂取する、含まれるサリチル酸塩により、抗炎症効果があるとの報告があります。
ブラックコホシュは強壮薬に配合されるの報告があります。
ブラックコホシュの副作用・毒性
ブラックコホシュの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
ドイツのハーブ委員会コミッションEではブラックコホシュの使用上限を6ヶ月としています。
ブラックコホシュは強カな治療薬なので、ハーブ医療に経験を有する者によってのみ使用すべきとされます。
ブラックコホシュのまれに胃腸の不快感、頭痛、めまい、体重増加、足のだるさ、痙攣などの副作用が報告されています。
ブラックコホシュの過剰摂取は、激しい頭痛、前頭部の頭痛、めまい、視覚障害、心拍数の減少、吐き気、嘔吐、胃部不快感などの副作用を起こすとされています。
ブラックコホシュとの関連が疑われる肝障害の事例が報告されている相互作用・エストロゲン様効果があるので、ホルモン感受性のがんや既往症を持っている人は使用を避けた方が良いでしょう。
ブラックコホシュは更年期障害に有用と思われますが、6カ月以上にわたって摂取すベきでありません。乳房および子宮内膜に対する長期投与による作用は確立していません。
ブラックコホシュによると思われる肝障害が、英国、オーストラリアなどで報告されていることから、厚生労働省および独立行政法人国立健康・栄養研究所は、注意を呼びかけています。ブラックコホシュは妊娠中、授乳中を避けて適切に摂取すれば安全と考えられます。
他のハーブやサプリメント、食品、医薬品とブラックコホシュの相互作用は知られていません。
ブラックコホシュの研究・エビデンス
研究①更年期障害
更年期障害のほてりなどの症状を有意に軽減すると思われますが、効果が見られるまでたいてい4週間ほどかかるといいます。患者によってはエストロゲンと同等の効果があらわれたという知見もあります。
更年期女性におけるプラセボ実験で、根抽出物を与えられた群では8週間後に有意なエストロゲン活性が見出されました。また他の研究では、ブラックコホシュはエストロゲンと同等の更年期障害軽減効果が見られたなどの報告があり、有効性、効果が示唆されています。
研究②発汗、ほてり
ブラックコホシュは過度の発汗を抑えますが、ほてりには無効でした。ほてりの頻度と程度は両群で低下し、統計学的有意差は認められませんでした。
過度の発汗はプラセボ群に比し、ブラックコホシュ群で有意に低減しました。その他の症状(動悸、頭痛、不眠、うつ状態、イライラ)は両群ともに改善が認められ、健康および満足感スコアは両群とも変化が認められませんでした。この種の試験では、2カ月間摂取ではやや短かったと考えられます。
研究③子宮内膜増殖症
Jacobsonによる研究では、ブラックコホシュを摂取していた女性(タモキシフェンを併用)で、子宮内膜増殖症、膣出血、子宮摘出、頸管拡張子宮内膜搔爬術を各1例ずつ記録しています。膣出血および子宮内膜増殖症はタモキシフェンの合併症として知られてはいます。しかしブラックコホシュが有害作用に関与しないと保証する情報はないといいます。
研究④異常出産
分娩誘発のためにブラックコホシュとブルーコホシュの配合剤を摂取した予定日超過出産例において、新生児に神経系の合併症が認められました。正常出産による体重3,840gの女児でしたが、生後自発呼吸が認められませんでした。人工呼吸器を必要とし、低酸素性障害が確認されました。生後3カ月において下肢の痙縮が認められ、経鼻胃栄養を必要としました。
しかし、この有害事象はブラックコホシュによると考えるよりは、血管収縮性および子宮収縮性の配糖体を含有するブルーコホシュに起因するものと考えられます。