ビタミンB12の効果効能、欠乏での症状は? 赤血球形成で貧血を防ぐ

ビタミンB12 貧血

ビタミンB12の概要

ビタミンB12 概要

ビタミンB12(別名シアノコバラミンcyanocobalamin)は造血において葉酸とともに重要な役割を果たしています。

同時に葉酸やビタミンB6とともにホモシステインの血中濃度を正常に保つ働きがあり、血管疾患の予防に役立つことが実証されています。1日に必要な量は非常に微量で、通常の食事では欠乏しにくいですが、菜食主義者や高齢者では欠乏が見られるビタミンです。

ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素です。マルチビタミンやビタミンB群、葉酸配合のサプリメントなどに配合されていることも多いです。

ビタミンB12は栄養機能食品の栄養素として認められており、1日摂取目安量を満たした商品については、栄養機能表示が認められています。

[1日摂取目安量】
・上限値:60μg・下限値:0.60μg

ビタミンB12が多く含まれる食品

ビタミンB12が多く含まれる食品としては、あさり(52.4μg/100g)、すじこ(53.9μg/100g)、レバー類(牛レバー:52.8μg/100g)などがあります。

肉(とくにレバーと腎臓)、乳製品、卵、海産物(とくに二枚貝)、微量ですがマメ科植物、大豆、海藻、藍藻類(スピルリナを含む)にも含まれます。

医薬品にも使われるビタミンB12

医療用医薬品ではビタミンB12製剤として、ビタミンB12欠乏または代謝障害が関与すると推定される疾患(栄養性および妊娠性貧血、胃切除後の貧血、肝障害に伴う貧血、放射線による白血球減少症、神経痛、末梢神経炎、末梢神経麻痺、筋肉痛、関節痛)、ビタミンB12の需要が増し、食事からの摂取が不十分な場合の補給、巨赤芽球性貧血、広節裂頭条虫症、悪性貧血に伴う神経障害、吸収不全症候群などの治療および予防に用いられます。

一般用医薬品ではビタミン製剤、ビタミンB2製剤、栄養剤、点眼薬などに配合されています。

医薬品例

医療用医薬品:シアノコバラミン、ビタメジンカプセル

一般用医薬品:パンピタンハイ、ナボリンS(メコバラミン)、サンテドウプラスE

コバラミン

■コバラミン■
コバラミンとはビタミンB12類の別名で、シアノコバラミン(ビタミンB12の化学名)、ヒドロキシコバラミン、アデノシルコバラミン、ニトリトコバラミン、アクオコバラミンなどがあります。

コバラミンは水溶性ビタミンです。コバルトを含む補酵素で、コバラミンは葉酸と密接な関係をもって機能を発揮します。

ヒトにおいて体内蓄積量の50〜90%が肝に存在し、体内蓄積されたコバラミンを使い果たすのには何年もかかります。

ビタミンB12の効果効能

ビタミンB12 効果 効能

ビタミンB12の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■ビタミンB12の効果効能一覧■

「造血、赤血球、貧血、ホモシステイン、心臓疾患、胃酸分泌、胃粘膜、下痢、中枢神経、時差ぼけ、不眠、腰痛、手足の痺れ、ふさぎこみ、記憶カ、肝臓」

ビタミンB12は核酸合成に必須なため、赤血球の細胞分裂と赤血球の核形成に影響を与えるとの報告があります。

ビタミンB12は葉酸との同時摂取でホモシステインの血中濃度を低下させ、心臓疾患のリスクを減らす可能性があります。

ビタミンB12の悪性貧血に対して有効性、効果を示唆する報告があります。

ビタミンB12は腰痛の治療(=末梢神経の傷の修復)に使われるとの報告があります。

ビタミンB12は肝機能強化に効果があると報告されています。

ビタミンB12の欠乏で起こる症状

ビタミンB12 欠乏

ビタミンB12の欠乏症はまれではなく、とくに高齢者でよくみられます。

ビタミンB12は胃や腸粘膜のような新陳代謝が盛んな組織に必要とされるため、欠乏すると胃酸の分泌低下、胃粘膜の萎縮、下痢、便秘、食欲不振などを起こします。

ビタミンB12欠乏により巨赤芽球性貧血を引き起こします。

ビタミンB12欠乏により神経疾患を生じます。リズム障害に関与している可能性がある、メカニズムは不明ですが、メラトニン受容体の活性を高めるのではないかといわれている等の報告があります。

ビタミンB12欠乏により、手足の痺れやふさぎこむ、記憶カの減退などの症状が現れます。

プロトンポンプ阻害薬やH2遮断薬の長期服用により、ビタミンB12が欠乏することがあります。

胃切除や萎縮性胃炎などによってもビタミンB12欠乏が引き起こされることがあり、ロ腔内アフタや舌の痛みなどで発見されることも多いといいます。

ビタミンB12欠乏により、脳症をきたした症例が報告されています。

ビタミンB12の副作用・毒性

ビタミンB12 副作用

ビタミンB12の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■ビタミンB12の副作用・毒性一覧■

経口で適切に使用する場合、ビタミンB12は毒性を示すことはなく、ほぼ安全です。ビタミンB12は一般的に安全で、大量に摂取しても安全だと考えられています。

妊娠中・授乳中の経口摂取は、2.6μgを超えなければほぼ安全です。

一般に副作用はほとんどありませんが、人によってはビタミンB12は下痢や末梢血管血栓症、痒み、一時的な発疹、蕁麻疹、全身の腫脹感、過敏症、アナフィラキシー様症状などなどを起こすことがあります。

しかし、ビタミンB12調製品の中の不純物によるという考えもあります。

ビタミンB12欠乏症の治療は、循環血液量と赤血球数が増す真性多血症の可能性があります。

クロラムフェニコールと併用すると、ビタミンB12による造血反応を損なう可能性があります。

アルコール、抗生物質、コバルト照射、コルヒチン、コレスチラミン、プロトンポンプ阻害薬、経口避妊薬、ニコチン、アジドチミジンなどの医薬品は、ビタミンB12の体内濃度を低下させ、欠乏症を招くおそれがあります。

巨赤芽球性貧血(悪性貧血)の人は注意して使用するようにしましょう。

致死的な低カリウム血症や凝血を起こすおそれがあるシアノコバラミンはビタミンB12の中で最も安定な化合物です。

研究・エビデンス

ビタミンB12 研究 エビデンス

研究①悪性貧血

悪性貧血はビタミンB12の吸収が低下することに起因すると考えられています。38名のビタミンB12欠乏患者を対象としたランダム化比較試験の結果、ビタミンB12を1日2mg経口摂取したときの血中のビタミンB12濃度は、1,3,7,10,14,21,30,60,90日目に1mgを筋肉内注射したときと比べて、同等か高い傾向にありました。120名のビタミンB12欠乏患者を対象として、経口摂取で最も効果が高い1日当たりの摂取量を調べたところ、推奨量の200倍以上の647〜1032μgでした。ただし、下痢や嘔吐、重い神経症状がある悪性貧血患者には使用すべきではないという報告があります。

研究②静脈血栓症

89名の再発性静脈血栓症患者と血中ホモシステイン濃度が高めの人を含む227名を対象としたランダム化比較試験の結果、葉酸5mgとヒドロキシコバラミン0.4mg、ピリドキシン50nigを併用摂取したところ、血中のホモシステイン濃度が有意に低減しました。ビタミンサプリメントが血中ホモシステイン濃度に与える影響をみた12件のランダム化比較試験をメタアナリシスしたところ、ビタミンB12を1日0.5mg摂取で約7%の低下が認められました。

研究③睡眠障害

原発性日周リズム睡眠障害の患者86名と、二次性障害の患者40名とを対象とした後向き研究の結果、ビタミンB12と照明治療の併用効果は、原発性障害では65%の患者で認められましたが、二次性障害では認められませんでした。また、日周リズム睡眠障害の患者50名を対象とした4週間の二重盲検ランダム化比較試験の結果、メチルコバラミンを1日3mg摂取しましたが、効果の点でプラセボとの有意差が認められませんでした。

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