ビタミンDの効果効能、過剰摂取での副作用は? 骨粗しょう症・くる病予防に

ビタミンD くる病

ビタミンDの概要

ビタミンD 概要

ビタミンD(別名カルシフェロール)(英 calciferol、ergocalciferol(vitaminD2)、cholecalciferol(vitaminD3))はカルシウムのホメオスタシス(恒常性)に関与する脂溶性ビタミンです。

皮膚で太陽光線により産生されますが、乳児・子供や、日焼け止めを塗るなど日光に当たりにくい生活スタイルの人、皮膚の薄い高齢者などでは不足するおそれがあります。

ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。ビタミンDは栄養機能食品の栄養素として認められており、1日摂取目安量を満たした商品については、栄養機能表示が認められています。

【1日摂取目安量】
・上限値:5μg(200IU)
・下限値:1.5μg(60IU)

ビタミンDを多く含む食品

ビタミンDはレバー(動物、魚)、卵黄、強化ミルクなどに多く含まれ、ビタミンDの含有量としては、乾燥きくらげ(440μg/100g)、あんこうの肝(110μg/100g)、さけ(32.5μg/100g)などが多く含む食品の例として挙げられます。

法的機能表示栄養機能食品の栄養成分のひとつであり、1.5μgから5μgの含有で「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」の表示が可能です。

医薬品でのビタミンD

医療用医薬品では、活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール、カルシトリオール)が骨代謝改善薬(骨粗鬆症治療薬)として用いられます。活性型ビタミンD3誘導体(タカルシトール、カルシポトリオール、マキサカルシール)の外用薬は、乾癬の治療に用いられます。

一般用医薬品では、ビタミンAD製剤、肝油、カルシウム製剤、栄養剤などに配合されています。

医薬品例

医療用医薬品:アルファロール

一般用医薬品:新カルシチュウ03

ビタミンDの作用

■ビタミンDの作用■

ビタミンDは脂溶性ビタミンで、ヒトが体内で紫外線の助けによりつくることのできる唯ーのビタミンです。ステロイドホルモンとして機能します。

肝に蓄積されて25-ヒドロキシビタミンDとして血中に放出され、腎でさらにヒドロキシ化されます。

・ビタミンD2=エルゴカルシフェロール(植物由来、強化ミルクにも加えられている)。
・ビタミンD3=コレカルシフェロール(動物由来、ヒトでは皮膚でつくられる)
・25-ヒドロキシビタミンD(肝でヒドロキシ化され、血中に放出される)。
・25-ジヒドロキシビタミンD3=活性型ビタミンD(腎でヒドロキシ化され、血中に放出される)。

ビタミンDの効果効能

ビタミンD 効果 効能

ビタミンDの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■ビタミンDの効果効能一覧■

「動脈硬化、免疫、くる病、骨粗しょう症、細胞分化、カルシウム、骨形成、骨吸収、インスリン、乾癬、骨軟化症、光線性角化症、有棘細胞がん、がん、虫歯」

ビタミンDは腎不全患者での人工透析に起因する、あるいは副甲状腺機能低下症または偽性副甲状腺機能低下症からくる低カルシウム血症に対し、経口で有効です。

乳児時にビタミンDのサプリメントを摂取すると1型糖尿病発症リスクが低減することを示唆する報告があります。

ビタミンDは腎臓でのカルシウムおよびリン再吸収を促進するとの報告があります。

ビタミンDは尋常性乾癬に対し経口で効果があるとされます。

ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進、骨での骨形成、骨吸収におけるカルシウムの取り込みを促進し、肝疾声腎疾患、副腎皮質ホルモン誘導性、家族性低リン酸塩血症などに起因する骨軟化症や骨粗しょう症、骨形成異常症に対し経口で効果があるという報告があります。

ビタミンDが欠乏すると子供ではくる病、成人では骨軟化症、骨粗しょう症、X脚や0脚の原因となり、ビタミンD依存性のくる病に対し、経口で有効です。

若いころからのカルシウムやビタミンDの摂取不足は、閉経後の女性や高齢者の骨粗しょう症の原因となり、閉経後の女性の骨粗しょう症や骨折のリスクを減少させるのに、カルシウムやフッ素などのサプリメントとの併用の有効性、効果を示唆する報告があります。

ビタミンDは経口で骨粗しょう症の治療に用いられるとの報告があります。

ビタミンDは乳幼児の歯の正常な発達を助け、不足すると虫歯になりやすいという報告があります。

ステロイド使用は骨粗しょう症の原因となり、長期摂取によってカルシウム不足が起きるので、ビタミンDの必要性が増します。

肝疾患、腎疾患、副腎皮質ホルモン誘導性などに起因する骨軟化症や骨粗しょう症、骨形成異常症に対してビタミンDの有効性、効果を示唆する報告があります。

ビタミンDは腎不全患者での人工透析に起因する、あるいは副甲状腺機能低下症または偽性副甲状腺機能低下症からくる低カルシウム血症に有効と考えられます。

ビタミンDの欠乏による症状

ビタミンD 欠乏

ビタミンD欠乏は母乳栄養児や日光に当たらない小児、高齢者に特にみられます。高用量の投与は、場合によっては過剰症になります。

血管系ビタミンDやカルシウムの不足により、骨から溶け出したカルシウムが血管に沈着し、動脈硬化を招くおそれがあります。

ビタミンDの潜在性欠乏は高齢者に一般的にみられます。高齢者における欠乏の原因は、日光照射不足、食事摂取の低下、吸収の低下、皮膚でのビタミンD合成カの低下、腎でのヒドロキシ化の不良です。

ビタミンDの一部は紫外線に当たることにより皮膚で生合成され、高齢になると皮膚が薄くなり合成量が低下するため補給が推奨されます。

小児でくる病(発育不全と骨端軟骨の増大により骨奇形に至る)、成人で骨軟化症と病的骨折がビタミンD欠乏症の徴候です。不顕性のビタミンD欠乏症では股関節部骨折のリスクの増加を伴います。

魚肉アレルギー患者で、ビタミンD欠乏によるくる病をきたした例が報告されています。

イオン交換薬(高脂血症治療薬)の服用により、ビタミンDなどの脂溶性ビタミンの吸収阻害が起こることがあるため、長期服用時には補給が必要となることもあります。

フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン(抗てんかん薬)の長期服用により、骨軟化症、くる病、歯牙形成不全が起こることがあります。これはビタミンDの代謝亢進によってビタミンDの作用が減弱したためと考えられます。服用が長期に及ぶ場合は、ビタミンDの補充も検討することになります。

ビタミンDのサプリメントが必要なのはどのような人?

脂肪の吸収不良、腎疾患(活性ホルモンの活性化に腎の働きが必要)、家族性低リン酸血症にはビタミンDの補給が必須です。

とくに母乳栄養児に補給が必要です(粉ミルク・牛乳にはビタミンDが強化されていますが、母乳中にはビタミンDが欠乏しています)。

ビタミンD強化ミルクを摂取していない小児や日光浴が少ない小児では補給が必要です。高齢者もビタミンD補給が必要です。

ビタミンDの過剰摂取による副作用

ビタミンD 過剰摂取 副作用

ビタミンDの過剰摂取による副作用の危険性は以下の通りです。

■ビタミンDの副作用・毒性一覧■

ビタミンDは経口で適切に摂取する場合、ほぼ安全です。

1日摂取量として1,000IU(25μg)以上は勧められません。2,000IU以上の連日摂取では副作用を生じることがあります。

ビタミンDの過剰摂取により、高カルシウム血症、血中電解質バランスが崩れることによる不整脈、高カルシウム無尿症、腎障害、食欲不振、体重減少、多尿、嘔吐、口渇、腎障害、不機嫌、異常石灰化、筋無力化、関節痛、腎結石、骨のびまん性無機分減少、骨粗しょう症、全身性見当識障害、衰弱、疲労、頭痛、悪心などの副作用が出ることもあります。

また、軟部組織へのカルシウムの沈着は心筋障害、アテローム硬化性疾患、腎石症を引き起こすことがあります。小児での多量の摂取は成長を阻害する可能性があります。

妊娠中は1日推奨適切摂取量の200IUか、多くの妊娠中用ビタミンサプリメントに含まれる400IUまでの摂取であればほぼ安全です。

妊娠中のビタミンDの摂り過ぎによる高カルシウム血症は、副甲状腺ホルモンの抑制、低カルシウム血症、テタニー、発作、大動脈弁狭窄、網膜症、胎児の精神および肉体的発達の遅延などを引き起こす可能性があります。授乳中は経口で400IUまでの摂取であればほぼ安全です。それ以上の大量摂取は避けるべきです。

サルコイドーシス、甲状腺機能低下の人はビタミンDに対する感受性が高まっていると考えられます。腎不全、腎結石を持つ人、動脈硬化、心疾患患者に対しては十分な注意をしてビタミンDを使用するようにしましょう。

強心配糖体を含むハーブやジゴキシンとビタミンDの併用摂取は注意しましょう。高カルシウム血症、不整脈が起きることがあります。

ミネラルオイルの過剰使用はビタミンDの吸収に影響を与えることがあります。

サイアサイド系利尿剤と医療目的でのビタミンDの併用は、高カルシウム血症になりやすいと報告されています。

フェノバルビタール、フェニトイン、肝酵素誘導薬コレスチラミン、コレスチポール、リファンピシン、カルバマゼピン、峻下剤などとビタミンDの併用で、ビタミンD活性体の血中濃度を低下させ、不活性体への代謝を増加させることが考えられます。

ステロイド使用は骨粗しょう症の原因となり、長期摂取によってカルシウム不足が起きるので、ビタミンDの必要性が増します。活性型ビタミンD3製剤は、カルシウム製剤との併用で高カルシウム血症が現れるおそれがあります。また、血清カルシウム上昇を伴った急性腎不全が現れることがあるとして、注意が呼びかけられています。外用の活性型ビタミンD3誘導体製剤についても、高カルシウム血症が報告されており同様の注意が必要です。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①尋常性乾癖

ビタミンD誘導体のひとつカルシポトリオールはプラセボと比較して尋常性乾癖を改善し、局所ステロイドなどの薬剤と少なくとも同程度の効果があったといいます。その他のビタミンD誘導体の乾癬に対する効果については限局的な科学的根拠しか得られていません。

研究②骨粗しょう症

9〜15歳の171名の女性で、3年間250日ビタミンD2を最初の2年は10μg/日、3年目は20μg/日摂取した結果、冬に10μg/日では骨密度の低下が認められましたが、20μg/日では維持されていたとのことです。

研究③骨粗しょう症

65歳以上の389名を対象とした3年間のランダム化比較試験の結果、1日量としてカルシウム500mgとビタミンD700IUを併用摂取したところ、摂取1年で測定した全ての部位で、プラセボと比べて骨密度が有意に上昇していたといいます。583名の外来の高齢女性を対象とした二重盲検ランダム化比較試験で全例解析した結果、プラセボ群では大腿骨の骨密度が低下したのに対し、カルシウム1200mgとビタミンD800IUを併用摂取した群では骨密度の減少が抑えられたといいます。

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