ビタミンKの効果効能、欠乏・過剰摂取での副作用 骨粗しょう症に有効?

ビタミンK 骨粗しょう症

ビタミンKの概要

ビタミンK 概要

ビタミンKは「フィロキノン(phylloquinone、K1)、メナキノン(menaquinone、K2)、メナジオン(menadione、K3)、メナジオール(menadiol、K4)に分けられます。

食品(サプリメントを含む)の原材料として使用が認められているのはビタミンK2(メナキノン)のみです。

医薬品成分であるフィトナジオン(フィロキノン、ビタミンK1)は食品に添加することはできません。また、メナジオン(ビタミンK3))も食品への使用は認められていません。

ビタミンKは血液凝固に関係し、毒性の少ないビタミンです。新生児出血性疾患やワルファリンによる出血障害への効果的な治療薬となります。一方、骨強度への関与を支持する根拠は少ないという声もあります。

医療用医薬品としてビタミンK1製剤は、ビタミンK欠乏症の予防および治療、各種薬剤(クマリン系抗凝固薬、サリチル酸、抗生物質など)投与中に起こる低プロトロンビン血症、胆道および胃腸障害、肝障害に伴うビタミンKの吸収障害、新生児の低プロトロンビン血症、ビタミンK欠乏が推定される出血に用いられます。

医療用医薬品としてビタミンK2製剤は、新生児低プロトロンビン血症、分娩時出血、抗生物質投与中やクマリン系殺鼠剤中毒時の低プロトロンビン血症に用います。ビタミンK2のシロップ剤は、新生児出血症を防ぐため、新生児に対して予防的に投与されることが多くなっています。

ビタミンK2製剤の中には、骨量、疼痛の改善を目的に、骨粗鬆症治療に用いられるものもあります。

一般用医薬品では、ビタミンKを配合した商品はありません。

ビタミンK2高産生納豆菌を含む納豆が、「骨の健康が気になる方」のための特定保健用食品として認められています。

ビタミンKは栄養機能食品の栄養素として認められていません。

ビタミンKを多く含む食品

日本人のビタミンK摂取目安量は(成人男性)75μg、(成人女性)65μg です。

特定保健用食品にビタミンK2を関与成分とする食品が許可されています。

多く含む食品としては、納豆(870μg/100g)、あしたば(500μg/100g)、かぶの葉(340μg/100g)などがあります。

葉の多い野菜、ブロッコリー、キャべツ、アルファルファや緑茶はフィロキノン(ビタミンK1)を多量に含みます。

緑茶(乾燥)は712μg/100g、カブの葉は650μg/100g、ブロッコリーとキャベツは125〜200μg/100g。レタスは120μg/100g、ホウレンソウは80μg/lOOgのフィロキノンを含む肉。チーズ、発酵食品はメナキノンを含みます。メナキノンは体内で腸内細菌によっても産生されます。

タバコの煙中に含まれるフィロキノンはきわめて少量ですが、呼吸器から吸収されます。ヒト母乳に含まれるビタミンK(フィロキノン、2〜3μg/L)は非常に少ないです。市販の乳幼児用ミルクにはビタミンKが添加されています

ビタミンK2[メナキノン]を成分とする特定保健用食品に、「本納豆は、納豆菌の働きにより、ビタミンK2を豊富に含み、カルシウムが骨になるのを助ける骨タンパク質(オステオカルシン)の働きを高めるように工夫されています。」の表示が許可されています。

成人でのビタミンK欠乏症はまれですが、新生児では出血性疾患の一部はビタミンKに関連があると考えられています。

ビタミンKの作用

■ビタミンKの作用■

ビタミンKは、種々のタンパク質のグルタミン酸残基をγ‐カルボキシグルタミン酸に変換する際の補酵素として働きます。その結果、プロトロンビンをはじめとする血液凝固因子はカルシウムと結合できるようになり、正常な血液凝固が行われます。同様の機序で、骨のタンパク質であるオステオカルシンの生成にも関わり、骨の形成に関与しています。

ビタミンKの効果効能

ビタミンK 効果 効能

ビタミンKの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■ビタミンKの効果効能一覧■

「血液凝固、出血、骨代謝、骨粗しょう症、新生児出血症」

ビタミンK4(メナジオールニリン酸ナトリウム)は経口で、ビタミンKの吸収や合成が損なわれて起こる低プロトロンビン血症に対し有効であるといいます。

ビタミンKは依存性カルボキシラーゼの補酵素として、主に血液凝固に関するタンパク質合成に関与します。出血時の血液凝固効果と、逆に血管内での有害な凝固を抑制する因子の合成にも同時に効果します。

ビタミンKは骨代謝に関与し、骨を丈夫に保つのを助けるとの報告がありますが、骨代謝との関係はまだ証明されてはいないとの報告があります。

骨の形成の調節因子(カルシウムの骨への沈着を促す一方で、カルシウム不足の場合に骨からカルシウムを溶出させようとするビタミンDの働きを抑制する効果)として重要な働きをしています。

ビタミンKの骨粗しょう症の予防効果が多数報告されている、さらに、治療にも使われている等の報告があります。

ビタミンK2が骨密度の減少や、恐らく骨折を減少させることが示すように、骨粗しょう症の治療を助ける可能性を示唆する複数の予備的な臨床の知見が報告されています。しかし閉経後の女性の骨粗しょう症の予防には効果がないと思われる。

ビタミンKはまたステロイド剤により引き起こされる骨粗しょう症を減らす可能性があります。

ビタミンK欠乏での症状

ビタミンK欠乏により血液凝固遅延、出血症(とくに新生児)、出血症(成人の場合食事制限や抗生物質投与による)を起こします。

健康な成人での欠乏症はまれです。ビタミンKは多くの食物に含まれ。ビタミンKサイクルがビタミンKを体内で維持しメナキノンを合成します。

イオン交換薬(高脂血症治療薬)の服用により、ビタミンKなどの脂溶性ビタミンの吸収阻害が起こることがあるため、長期服用時には補給が必要となることもあります。

イソニアジド(結核治療薬)や抗生物質の長期服用により、腸内細菌か抑制され、ビタミンKが欠乏することが考えられます。

ビタミンK欠乏で最も多い症状は出血です。ビタミンK欠乏は新生児では一般にみられ、とくに母乳栄養児で起こります。新生児はその肝臓が未熟なために適量のプロトロンビンを合成できず、腸は無菌状態であり、母乳のビタミンKもきわめて低濃度にあることから欠乏のリスクが特異的に認められます。

生育・発達生まれたばかりの乳児では、ビタミンKを産生すると考えられる腸内細菌が十分に発達しておらず、またその吸収に必要な胆汁の分泌が十分でないため、母乳中にビタミンKが不足していると欠乏症を起こし、新生児出血症(新生児メレナ)や頭蓋内出血を起こします。

ビタミンKは高齢者に欠乏しやすいため補給が推奨されます。

ビタミンK過剰摂取での副作用・毒性

ビタミンK 過剰摂取 副作用

ビタミンK過剰摂取での副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■ビタミンKの副作用・毒性一覧■
ビタミンKは経口で適量摂取した場合、ほとんど副作用が報告されていません。

ビタミンKの過剰摂取については、成人では1日当たり30,000μgまでの摂取量は安全とされています。

幼児へのメナジオンの投与は溶血性貧血と肝臓での毒性を引き起こします。

ビタミンKを一度に大量に摂りすぎると、吐き気や呼吸困難、血圧低下、溶血性貧血を起こすことがあります。

ビタミンKは妊娠中は経口で、適度に摂取する場合、ほぼ安全です。ただし、出産間近の妊婦への大量のビタミンK投与は、新生児の高ピリルビン血症や核黄疸に関連があるとされます。妊婦への過剰投与によって、母子双方に溶血性貧血が起きることがあります。

ビタミンK4では胃腸の不調との関連があるという報告もあります。

ビタミンK3とK4を職業上取り扱うことにより接触性皮膚炎を起こすことがあると報告されています。

相互作用などコレスチラミン、経口抗生物質、ミネラルオイルなどはビタミンKの血中濃度に影響を与えることが知られています。

コエンザイムQ10とは化学構造が似ているため、ビタミンKと併用すると効果が強まり、抗凝血薬を服用している人では血栓リスクが高まることがあります。

血液の抗凝血薬(ワルファリン)を投与されている患者では、その効果を減じる可能性があるため、禁忌です。ワルファリン(抗凝固薬)とビタミンKの併用により、ワルファリンの作用が減弱するため、併用は避けましょう。納豆やクロレラなど、ビタミンKを含む食品についても、同様に注意します。

止血効果があるハーブ(アルファルファ、キャベツ、パセリ、ネットルなど)とビタミンK併用摂取すると、抗凝血薬を服用している人では血栓リスクが高まることがあります。

ビタミンK過敏症、血栓症や血液凝固傾向のある疾患に対しては禁忌です。

フィロキノンは推奨量の500倍まで摂取しても毒性が認められません。しかしメナジオンは毒性があり、細胞膜のスルフヒドリル基に結合し、溶血性貧血、高ピリルビン血症、核黄疸を惹起することがあるので使用は勧められないという報告があります。

ビタミンKの研究・エビデンス

ビタミンK 研究 エビデンス

研究①骨粗しょう症

10年間、ビタミンKを摂取した71,327名の38-63歳までの女性に対する疫学調査では、腰椎骨折の相対的リスクは0.70であったといいます。

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