エゾウコギの効果効能、副作用 うつ病や疲労に効く?

エゾウコギ うつ病 疲労

エゾウコギの概要

エゾウコギ 概要

エゾウコギの根

エゾウコギ(別名シゴカ、シベリアニンジン、英Siberian ginseng)は滋養強壮やスタミナ補給、気分の落ち込み対策等を期待して、サプリメントに用いられることがあります。

エゾウコギの根は漢方で刺五加と呼ばれ、2000年以上前から使用されています。オタネニンジン(朝鮮人参)よりさらに良好な効果をもたらすといわれており、抗疲労効果、血管拡張効果などの薬理効果が認められるといわれています。

エゾウコギは細くとげのある灌木です。中国北部、朝鮮半島、北海道、サハリン、千島、ロシア南西部、シベリアに自生します。高さ2mの落葉低木。花期は6〜8月。現在は根、根茎、茎、葉が市場に出ています。ロシア産は主に根茎、韓国産は主に根、中国産は主に根と根茎のいずれも含む製品です。

エゾウコギはginseng(オタネニンジン、朝鮮人参)とは異なるハーブで、西洋ではシべリアンジンセンと呼ばれます。一方、強壮効果はオタネニンジンより穏やかとされていますが、ドイツのコミッションEは、高血圧の患者には使用しないよう指示しています。

一般用医薬品では、滋養強壮薬、ドリンク剤に配合されていることがあります。

一般用医薬品の例
・グロンサンゴールド・錠
・ユンケルロイヤル黄帝
・エゾパナール

夏に根を掘り上げ、水洗い後、芯を除いて日干しにします。有効成分の含有量とその活性は収穫期によって異なり、10月が最高で、7月が最も低いといわれています。

エゾウコギの葉と実

エゾウコギの葉と実

エゾウコギの成分

■エゾウコギの主な成分■

エゾウコギの主な成分は、根皮にタンニン、ビタミンAなど、根にはサポニンのエレウテロシドA(eleutheroside A)、クマリン配糖体としてのエレウテロシドB(eleutheroside B)、リグナン(eleutheroside E)を含みます。他には、シリンジン(syrmgin)、シリンガレシノール(syrmgaresinol)、エレウテロシドG(eleutheroside G)、β‐シトステロール(Aーsitosterol)、セサミン(sesamin)、カフェ酸(caffeicacid)、コニフェリルアルデヒド(coniferylaldehyde)、フェニルプロパノイド(phenylpropanoid)、ジヒドロキシ安息香酸(dihydroxybenzoic acid)、トリテルペンサポニン(triterpenoid saponin)、ステロイド、炭水化物、キサントンおよびフラボンを含みます。

エゾウコギの効果効能

エゾウコギ 効果 効能

エゾウコギの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■エゾウコギの効果効能一覧■

「血管拡張、血圧、アテローム性動脈硬化、食欲、鎮静、神経痛、不眠、ノイローゼ、アルツハイマー病、注意カ欠如、自律神経失調症、神経衰弱、うつ病、向精神、リウマチ、ED、勃起不全、更年期、エストロゲン様効果、性腺刺激、糖尿病、浮腫、腎臓、肝臓、筋肉痛、慢性気管支炎、ヘルペス、インフルエンザ、結核、抗炎症、強壮、疲労回復、脚気、興奮剤、がん転移、抗酸化、ストレス」

エゾウコギには血管拡張効果があるとされ、血圧降下効果がある、血圧を正常に保つ目的で使用される、アテローム性動脈硬化症に用いられる、循環器系の障害に効果があり、低血圧、高血圧の改善、血中コレステロール値を下げ、動脈硬化、心臓病を予防する等の報告があります。

食欲不振に効果があり、エゾウコギの煎液か薬酒を摂取するとの報告があります。

エゾウコギには鎮静効果がある、神経痛、長引く不眠に煎液か薬酒を摂取する、ノイローゼ、注意カ欠如、アルツハイマー病に用いられている、不眠に用いる、精神的、身体的なストレスに摂取する、うつ病、自律神経失調症、神経衰弱に効果がある等の報告があります。

リウマチに効果があり、エゾウコギの煎液か薬酒を使用する、リウマチ由来の心疾患、関節炎に摂取する、免疫能の増強を目的に摂取する、多糖類には免疫刺激効果(炭素清掃率試験、顆粒球性白血球試験)があり、またX線毒性を軽減する効果をもつ、中国伝統医薬では、病気への抵抗カを高めるために用いる等の報告があります。

エゾウコギには補精効果がある、ED(勃起不全)に用いる、性機能の回復と強化に効果がある、更年期障害に摂取する、生体内での性腺刺激効果、エストロゲン様効果が報告されている等の報告があります。

エゾウコギは糖尿病に効果があるとの報告があります。動物で血糖値の減少効果が示されていますが、効果機構は解明されていない等の報告があります。

浮腫に効果があり、エゾウコギの煎液か薬酒を使用する、腎臓機能低下、腎う腎炎に用いる、利尿薬として使用する、生体内での抗浮腫、利尿効果が報告されている、中国伝統医薬では、腎臓の痛みに用いる等の報告があります。

エゾウコギは肝臓機能低下に効果があるとの報告があります。

エゾウコギは筋肉痛に効果があるとの報告があります。

エゾウコギは慢性気管支炎に効果がある等の報告があります。

エゾウコギは単純へルぺス感染の頻度を低下、症状軽減、インフルエンザ、結核に効果があるとの報告があります。

エゾウコギはがんの転移を遅らせ、進行を止める効果があるとロシアの研究者が発表しています。これを支持する追試験も報告されているとの報告があります。

エゾウコギには抗炎症効果があるとされる、げっ歯類を使った固定実験や冷却実験で、(これら外的ストレスに対し)耐久性が促進された、動物実験では抗酸化効果(フリーラジカルの捕捉)が示されている、がんや有害化学物質、放射能汚染、感染への抵抗カを高める補助療法に使われる、回復期、老衰、強壮、疲労回復に煎液か薬酒を使用する、疲労回復、強壮、体質強化に効果がある、慢性疲労に摂取する等の報告があります。

脚気に効果があり、エゾウコギの煎液か薬酒を使用する、頭部外傷に使用する、抗生物質投与の副作用軽減に用いられる、興奮剤として用いられる等の報告があります。

エゾウコギの副作用・毒性

エゾウコギ 副作用 毒性

エゾウコギの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■エゾウコギの副作用・毒性一覧■
エゾウコギは、適切に使用した場合、安全に摂取することができる、適切に短期間であればおそらく安全であろう、とされています。

エゾウコギの確認されている副作用としては、眠気、不安、いらつき、憂うつ、乳腺痛が起こることがあります。長期摂取で、神経(とくに坐骨神経)の興奮を起こし、痙攣にいたることもあります。

エゾウコギは180/90mmHg以上の高血圧の患者には禁忌です。

エゾウコギは心疾患(アテローム性動脈硬化症、リウマチ由来の心臓病など)の患者は注意して摂取すること。動棒・頻脈・血圧上昇が起きることがあります。

リウマチ性心疾患患者においては、エゾウコギ摂取で頭痛や胸の痛みの副作用が起きることがあります。

血小板凝集阻害薬・抗凝血薬、血糖値を下げる効果のあるハーブや糖尿病薬、鎮痛効果のあるハーブや医薬品、バルビツール系薬剤、カナマイシンとエゾウコギの併用で、相互作用があります。

エゾウコギにはエストロゲン様効果があるので、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫の患者は摂取を避けましょう。

エゾウコギは心筋梗塞の症状を悪化させるおそれ、精神疾患(そう病、ヒステリー、統合失調症(精神分裂病))の症状を悪化させるおそれがあるので、注意して使用するようにしましょう。

エゾウコギは重篤な高血圧、発熱中、漢方でいう陽証の人は用いないほうがよいでしょう。

コーヒー、アルコール、香辛料、苦味の強い食べ物とエゾウコギの同時摂取は副作用を起こる可能性を高めます。

研究・エビデンス

研究 エビデンス

研究①高脂血症、虚血性発作、不整脈とエゾウコギ

高脂血症や虚血性発作、不整脈に効果がある可能性を示す知見もあります。しかし、これらについてはさらなるデータの蓄積が必要との声もあります。

研究②男性不妊、EDとエゾウコギ

中国での臨床試験によると、男性の不妊手術のあと性機能障害(性交不能)に陥った患者39例に対して、エゾウコギを連続4-5週間投与したところ、性欲増大は67%、性交頻度増加62%、ED(勃起不全)改善53%という結果であったといいます。

研究④免疫とエゾウコギ

健康な被験者36例にエゾウコギのエタノール抽出製品を10mL(1.96gのエゾウコギ根抽出物を含む、エタノールとエゾウコギの割合は1:1)、1日3回、4週間毎日投与し、細胞性免疫作用について調べた結果、エゾウコギ投与群でリンパ球総数、とくにヘルパーT細胞の増加を認めました。サブレッサーT細胞とBリンパ球も有意に増加しました。総白血球数(WBC)の増加は認められず、副作用も認められませんでした。

研究⑤放射線、白血病とエゾウコギ

エゾウコギは長期の放射線照射からラットを守り、また糖尿病ラットの体重減少を軽減しました。腹腔内への根の水抽出液の注射はマウスの血糖値を低下させたとされています。エゾウコギはマウスの自然発生乳腺腫瘍および自然発生白血病を減少させ、ウレタン誘発肺腺腫を阻止し、インドール誘発骨髄性白血病を阻止しました。また、ラットでの6-メチルチオウラシル誘発甲状腺腫瘍を阻止しました。

研究⑥感染症とエゾウコギ

16件の二重盲検ランダム化比較試験で、エゾウコギの感染症に対する有効性、効果を確立するだけの根拠は見つからなかったとのことです。有効性、効果と安全性についてはより大規模な研究が待たれると結論されています。

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