もくじ
カモミール(カミツレ)の概要
カモミール(カミツレ)はハーブティーなどでよく知られる代表的なハーブのひとつです。
伝承的な効用としては消化管の健康を維持する効果や抗炎症効果、鎮静効果、抗菌効果などが報告されています。
使用法も経口摂取、外用、入浴剤をはじめ、シャンプーやローションに配合されることも多いです。
「気持ちを落ち着ける」ハーブティー、アロマオイルとして用いられます。サプリメントに配合されていることもあります。入浴剤、ボディソープ、石鹸などに配合されていることがあります。
カモミール抽出物は、添加物(苦味料)として用いられることがあります。
一般にカモミールというとジャーマンカモミールがあげられますが、ローマンカモミールもほぼ同じような用途で使用されています。
ジャーマンカモミールはコミッションEモノグラフで治療目的での使用を承認されているのに対し、ローマンカモミールは未承認ハーブとして報告されており、薬用としての効果は劣る上、アレルギー様の副効果のリスクがあることが報告されています。
カモミール(カミツレ)の成分
カモミール(カミツレ)の主な成分は以下の通りです。
ジャーマンカモミール
ジャーマンカモミールは背の低い一年生草本。ヨーロッパ、北アジア、南アジア原産、北アメリカに帰化。
頭状花を乾燥したもの(カミツレ(花))を茶剤などに使用します。花から水蒸気蒸留で精油を採取します。
きく科[シカギク属]
英名 German chamomile、Matricaria chamomillah(Matricariare cutita)
ローマンカモミール
南および西ヨーロッパ原産。北アメリカに帰化。香りのよい白い花をつける多年生植物で、30cmほどの高さになります。
きく科[カモマイル属]
英名 Chamae melumnobile、Roman chamomile
他のカモミール
ジャーマンカモミール、ローマンカモミールの他には、
Hungarian chamomile[ハンガリアンカモミール、sweet false chamomile(イヌカミツレ)、blue chamomile(ブルーカモミール)、wild chamomile(ワイルドカモミール)、scented may weed(カミツレモドキ)
などがあります。
カモミール(カミツレ)の効果効能
カモミール(カミツレ)の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
カモミール(カミツレ)の副作用・毒性
カモミールは毒性が少なく、胃腸薬や穏やかな鎮静薬として使われる、味のよいハーブです。
ただし、ときとしてアレルギー反応が出るという報告があります。
・ジャーマンカモミールの花は治療目的で使用する場合、短期間ならばおそらく安全とされていますが、茶は高濃度摂取すると、嘔吐を起こすのでおそらく安全でないと考えられます。
・ドイツでは「カモミールの浸剤は眼の近くで使用してはならない」との製品表示を義務付けています。
・ローマンカモミールは子宮を刺激する効果があるので妊娠中は使用してはならないとされています。また国によってはローマンカモミールの精油を法規制の対象としています。
・禁忌、副効果、薬剤との相互作用などは知られていません。
・授乳中の安全性については十分なデータがないのでなるべく使用を避けたほうがよいとされています。
・カモミールはアレルギー反応(接触性皮膚炎、過敏症、アナフィラキシーを含む)を起こすことがあります。アレルギー体質の人は注意が必要です。
・キク科の植物で、とくにブタクサにアレルギーのある方では、カモミールのアレルギーは稀ではありません。
研究・エビデンス
研究①アトピー性湿疹患者
方法:市販のカモミール外用クリーム(カモミールの花の2%エタノール抽出物を含む製品Kamillosan)を、プラセボあるいは0.5%のヒドロコルチゾンと比較。左右の腕に異なる治療薬を塗布して比較しました。
結果:カモミールクリームは色やにおいで明らかに他の2つのクリームと区別がついた。2週間後、すべての群で同様に瘙痒、紅斑、剝離が改善されました。
研究②呼吸器症状
58歳のカモミール茶を取り扱う人が、インフルエンザ治療のためカモミールエアロゾルを吸入したところ、重度の喘息症状が起こった例が1例あります。
カモミールを含む茶を製造している人で、慢性的な呼吸器症状がより多いことが報告されています。
- カモミール(カミツレ)を冷え性に入浴剤として用いるとの報告があります。
- カモミール(カミツレ)茶には著しい催眠効果があり、アメリカの病院で12人の心臓病患者に茶を飲ませたところ10人が10分以内に眠ったという報告があります。
- 濃い抽出液を風呂に入れても鎮静効果がある、抽出した精油を患部に擦りこむと、リウマチや痛風の痛みを和らげるとの報告があります。
- 花を用いた湿布薬は坐骨神経痛の痛みを和らげるとして、伝統的に坐骨神経痛、腰痛にパップ剤が用いられてきたといいます。
- 心の傷を癒す(ヒーリング)効果があるとのの報告があります。
- 免疫系・免疫機構の刺激効果があるとの報告があります。
- 乳腺炎に用いられる、月経痛や月経前の片頭痛を和らげる目的で用いられる、他のハーブとの混合経口摂取で月経不順に用いる等の報告があります。
- 他のハーブとの混合経口摂取で、肝臓病、胆のう病、胆石、脂肪肝に効果があるとの報告があります。
- 外用薬として外傷、日焼け、やけど、下肢潰瘍、湿疫、皮膚炎、乳頭のひび割れに用いるといいます。
- カモミール精油を含んだ軟筋肉・皮膚膏は殺菌剤になり、济癬のため湿疹になった皮膚に治癒効果があるといいます。
- カモミールオイル(主成分カマアズレン)に外傷・関節を治す効果があるといいます。
- 民間療法では、リウマチに経口で用いられた、細菌による皮膚病を含む皮膚と粘膜の炎症に、外用で用いる、皮膚の代謝を刺激する等の報告があります。
- 煎じたものを点眼薬として用いる、耳の炎症にスチーム法で用いる等の報告があります。
- 蒸気吸入法は、喘息やカタル症治療の補助になる、呼吸器系の炎症、花粉症に吸入法で用いる、副鼻腔炎、鼻粘膜の炎症に経口摂取される等の報告があります。
- 成長・生育・知恵熱、疝痛などの小児の疾患、乳児のひきつけなどに経口摂取する、伝統療法で、子供の痙攣に用いられます。
- カモミールの成分ベリフェロンとカマアズレンはカンジダ症の治療に効果がある、カマアズレンは黄色ブドウ球菌に殺菌効果を示す、感冒に用いる、抗菌、静菌効果があるといいます。
- 殺菌性の軟膏やクリームとして用いる、オイルには抗菌活性、とくにグラム陽性菌とカンジダ菌に対して効果をもつ、民間療法では、原虫感染に経口で用いられた等の報告があります。
- 伝統療法でがんに対してカモミールを用いるとの報告があります。
- 煎じたものは口内炎のうがい薬に用いる口腔内や歯茎の炎症に外用で用いる、口内炎に経口で用いられる、伝統的に、歯痛、歯茎の出血や腫れに用いられてきた等の報告があります。
- カモミールの成分カマアズレンの効果で、消炎効果、治癒促進効果があるといいます。
- 発汗剤として用いる、デオドラン(消臭)効果がある、揮発油を強壮薬として用いる等の報告があります。
カモミールを含む製品の例
カモミールを含む製品の例を紹介します。
(製品の成分) 軟膏(歯磨き)剤は100g中カミツレチンキ1.25g、ラタニアチンキ1.25g、ミルラチンキ0.62g。
(製品の効果効能) 歯肉炎・歯槽膿漏の諸症状(出血・はれ・ロ臭・発赤・ロのねばり・歯ぐきのむずがゆさ・歯ぐきからのうみ)の緩和。
(製品の成分) 貼付剤は100g中dl-カンフル1g、トメントール0.7g、ユーカリ油0.5g、チミアン油0.5g、カミツレチンキ0.5g、ニクズク油0.3g。
(製品の効果効能) かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、胸の痛み、筋肉の痛み)の緩和。
(製品の成分) 顆粒剤は3包(6g)中アルコール製混浸エキス1g(ニンジン・キッソウコン、コウカ各0.1g、カミツレ・カンゾウ・エンゴサク・チョウジ各0.2g、ガジュツ・トウキ・コウブシ・ケイヒ・センキュウ各0.5g、ジオウ0.3g、サフラン0.04g)。
(製品の効果効能) 補温、強壮、滋養、経血の目的をもつ悪阻の女性特有の諸症。 ヒステリー、逆上(のぼせ)、頭痛、頭重、耳鳴り、不眠、貧血、腰痛。