もくじ
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の概要
セイヨウサンザシ(別名ホーソンベリー)(英 Hawthorn)ばら科[サンザシ属]
サンザシにはセイヨウサンザシとオオサンザシ、チャイニーズホーソン、サンザシがあります。セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)はとくにヨーロッパにおいて心臓に有効なハーブとして使用されてきました。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の効果は広範囲にわたって循環器系を改善するとされています。葉と花の抽出物はドイツのハーブ承認委員会「コミッションE」でも処方箋なしに治療目的で使用できると承認されたハーブです。うっ血性心不全(CHF)および不整脈の患者に非常に役立つ毒性の少ないハーブといわれています。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)はトゲのある低木で、大きいもので高さ10mになります。果実は球形または楕円形で深赤色。ヨーロッパの北西部および中部、イングランドからラトビア、ピレネー山脈の西側およびイタリア北部の森で見られます。北アメリカ東部およびインドに帰化しています。
利用部分は果実、葉、花です。中国では乾燥した果実を、ヨーロッパでは花冠、葉、果実を利用します。花期は春の遅い時期で白い花をつけます。秋には赤い実を結びます。
多くの種類の果実が生、乾燥、その他の保存方法によって食用とされ、また、最近ではヨーロッパでジャムとして、中国ではフルーツキャンデイ、およびワインとして利用されます。
強心作用を期待して、一般用医薬品の循環器用薬、滋養強壮薬、ドリンク剤などに配合されていることがあります。日本で健康食品として販売されているサンザシは、セイヨウサンザシかオオサンザシが主です。
医薬品例:エスカルデン、グロンサンゴールド・錠、れいめいしん液
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の成分
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の効果効能
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
「高血圧、強心薬、冠状動脈拡張、心臓弁膜症、低血圧、狭心症、不整脈、動脈痙攣、末梢血行促進、循環器機能不全、うつ血性心不全、アテローム性動脈硬化、高コレステロール、消化、下痢、腸炎、膨張、腹痛、駆虫、不眠症、鎮痛、抗痙攣、利尿、無月経、血糖値、腫れ物、外傷、皮膚潰瘍、しもやけ、うるしかぶれ」
ヨーロッパでは、ニューヨーク心臓協会の分類基準で心臓の拍動低下、ジギタリスを必要としない高齢者の心臓の不調、軽度の狭心症に、セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)各種の薬剤処方が使用されています。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の果実には血圧降下や強心の効果があり、ヨーロッパでは強心薬に配合される、葉に含まれるメタノールエキスは強心薬として用いる、心臓の冠状動脈と末梢動脈を広げるフラボノイドを含み、プロシアニジンが心拍を遅くする、果実は動脈硬化症や腎臓疾患からくる高血圧を下げる効果があるとされ、一方、花は心臓の老化、心臓弁膜症の患者の健康状態を著しく改善させる効果があるという研究もある、高血圧を下げると同時に低血圧を正常に戻す効果がある等の報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は狭心症、不整脈、動脈の痙攣などにも用いられる、末梢血行促進、心拍、冠動脈血流量の安定効果があり、循環器機能不全、あらゆる心臓疾患に経口摂取する、うっ血性心不全不整脈、高血圧や肺疾患による心臓からの血流量の改善、アテローム性動脈硬化、高脂血症などに利用される、中国伝統医学で、果実を高血圧、高脂血症、冠動脈性心臓病に効果がある、セイヨウサンザシエキスは心筋に対する陽性変カ効果を示し、心筋の不応期を延長させ(したがって抗不整脈効果をもつ)、冠状動脈循環血液量と心拍出量を増やし、末梢血管の抵抗性を減らす効果がある等の報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は消化不良や下痢、腸炎、みぞおちの膨張、腹痛に利用される、中国の伝統医学では果実を消化の促進、胃機能の亢進、上腹部の緊張時に血液循環を刺激、下痢、腹部の痛み、消化不良、腸炎に効果がある等の報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は神経性の不眠症にも有効とされる、花冠部は催眠用の処方に用いられている、鎮痛、抗痙攀効果がある等の報告があります。
中国伝統医学で、セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の実は無月経に効果があるとの報告があります
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は血糖値を安定化する効果があるとの報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)には利尿効果があるとの報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は腫れ物、外傷、潰瘍に湿布薬として効果がある、中国伝統医学では、外用でウルシかぶれやかゆみ、しもやけの洗浄に用いる等の報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は中国伝統医学で、果実を急性の細菌性下痢に効果がある、また、果実を最高500g食べることで、条虫の感染症を治療する等の報告があります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の副作用・毒性
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)副作用としては治療用の量を経口摂取したときにいくらか報告されています。吐き気や悪心、胃腸の不快感、疲労、発汗、手のかゆみ、心悸亢進、動悸、頭痛、めまい、動揺、不眠、循環器系のかく乱などの副作用を引き起こすことがあります。
セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)は効果が発現するまでに、数カ月かかることもありますが、摂取して6週間以上症状が改善しないか、足のむくみが見られる場合、薬剤師に相談すべきです。また、腕に抜ける胸の痛みのように心臓疾患からくる痛みがある場合は医学的診断が必須です。
強心配糖体を含むハーブや強心効果のあるハーブ、心臓血管の薬、冠状動脈拡張薬、CNS(中枢神経系)の抑制薬、ジゴキシンなどとセイヨウサンザシ(ホーソンベリー)の併用は避けるべきです。
研究・エビデンス
研究①セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)とうっ血性心不全などの心疾患
心臓の駆出率(EF)、運動負荷に対しての耐久度が増し、ステージII心不全の症状を軽減したという研究があります。これらの効果は通常治療開始後6〜8週間で最大になります。また、他の研究で1日160〜900mgの水性エキスを投与されたステージII心不全の患者で、56日間の試験期間を通して効果を示しました。
研究②セイヨウサンザシ(ホーソンベリー)と心機能、血圧
各種の臨床研究では、拍出量などの心機能、末梢血管の抵抗性の減少、肺動脈や毛細血管圧の低下、休憩時および運動時の血圧の低下、代謝効率の改善が示されているとの報告があります。