ヒスチジンの概要
ヒスチジン(英 histidine)は以前はラットでは必須アミノ酸であり、ヒトでは子供の成長にのみ必須なアミノ酸であるとされていましたが、近年成人でも長期の実験の結果、必須アミノ酸とみなされるようになりました。
芳香族の必須アミノ酸で、多くの蛋白質の成分となっています。食品中では、かつお生(2300mg/100g)、豚ロース赤身(1000mg/100g)、チェダーチーズ(790mg/100g)などに多く含まれます。蛋白質を含むほとんどの食物・ほとんどの蛋白質に含まれます。
医薬品ではアミノ酸製剤、栄養剤などに配合されています。一般用医薬品では滋養強壮薬、ドリンク剤などに配合されています。
アミノ酸の補給を目的としたサプリメント、飲料などにも用いられています。食品添加物(調味料、栄養強化剤)として用いられることもあります。
ヒスチジンを含む医薬品の例
・医療用医薬品:アミノレバンEN
・—般用医薬品:フェリアップ
ヒスチジンが成人に必要かは十分に明らかではありませんが、新生児には明らかに必須であり28mg/kg/日を必要とします。成人では8〜12mg/kg/日が必要と考えられていますが、実際の必要量は2mg/kg/日以下でしょう。
ヒスチジンの成分
ヒスチジンの効果効能
ヒスチジンの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。
「血管拡張、白血球、アレルギー、神経伝達物質、ストレス、関節炎、成長」
ヒスチジンは血管拡張やアレルギー発症に関わるヒスタミンの前駆物質です。
ヒスチジンは白血球の生成を促進するとの報告があります。
ヒスチジンより合成されるヒスタミンが、ヒスタミン神経細胞で神経伝達物質として中枢機能に関与するため、神経機能を補助します。
ヒスチジンはストレスを軽減する効果があるとの報告があります。
ヒスチジンは慢性関節炎の症状を緩和する効果があるとの報告があります。
ヒスチジンは成長を促進します。
食事からのヒスチジン摂取量が多いと、減量プログラムに参加した中高年肥満女性の摂食を抑制し、脂肪分解を促進する可能性があると示唆されています。
ヒスチジンは毒性の少ないアミノ酸ですが、ナルコレプシー、体重減少、貧血への効果は信頼できるデータが十分にありません。
ヒスチジンの副作用・毒性
ヒスチジンの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。
臨床試験では4g/日まで副作用が出ないとされます。
ヒスチジンが分解して生成するヒスタミンは外傷や薬で発疹やアレルギー発症を起こします。
葉酸欠乏症の人がヒスチジンを摂取すると、ホルムイミノグルタミン酸が蓄積するおそれがあります。
ハーブやサプリメント、食品、医薬品とヒスチジンとの相互効果・副作用は報告されていません。ヒスチジンはマグロやサバ、アジなどの青魚にも含まれ、その体表面に生息する細菌のヒスタミン脱炭酸酵素によってヒスタミンに分解されます。鮮度の落ちた魚や加工時にヒスタミン脱炭酸酵素産生菌に汚染された魚などを食べると、ヒスタミン中毒(じん麻疹、頭痛、顔面潮紅など)を起こすことがあります。これまでに、イワシの蒲焼、マグロの照り焼き、サバのみりん干しなどで起きたとの報告があります。
ヒスチジンの妊娠中、授乳中の安全性については十分なデータがありません。