ホスファチジルセリンの効果効能、副作用 認知症のサプリにも使用

ホスファチジルセリン 概要

ホスファチジルセリンの概要

ホスファチジルセリン サプリメント
ホスファチジルセリン(英 phosphatidylserine)は適切に用いれば安全であり、記憶カ、認知機能などの脳機能改善に用いられています。食品中では、大豆に多く含まれています。

現在最も多く使用されるのは大豆加工食品サプリメントです。他のリン脂質と組み合わされたものもあります。

記憶カ低下の予防、認知症予防などに用いられることがあります。イチョウ葉やDHAなどといっしょに配合されているサプリメントなどもあります。

記憶障害に役立つとされていますが、有効性については一貫した結果は得られていません。

植物性食品と動物性食品に少量含まれますが、生物学的利用率は低いです。

内因性の酸性リン脂質であり、細胞膜の脂質二重層の10〜15%を構成します。とくに、神経細胞と細胞膜に豊富です。

L-セリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質で、脳や神経組織に多く含まれ、ヒトの場合には脳の全リン脂質の約18%を占めます。

セリン、グリセロリン酸と脂肪酸2分子から生成されます。ホスファチジルセリンは食品より供給されます。しかし、経口摂取したリン脂質は一部小腸で消化されて脂肪酸を失い、完全に吸収されるわけではありません。

ホスファチジルセリンの作用

■ホスファチジルセリンの作用

ホスファチジルセリンは血液凝固反応の補助因子として働くことが知られており、血小板の活性化に伴い細胞膜の内層より外層に移行することにより、血小板膜上での血液凝固因子の活性化反応を促進すると考えられています。

また、マクロファージにより貪食除去される際の標的分子のひとつと考えられています。その他の生理機能として、プロテインキナーゼCやNa+-ATPアーゼなど膜結合タンパク質の活性発現における補助因子として働くことが示唆されています。

ホスファチジルセリンは細胞間の伝達と蛋白質の調節(シグナル伝達を媒介する酵素を含む)に関与します。プロテインキナーゼcアイソフォームを活性化し、アセチルコリン、ドパミン、ノルエビネフリンの濃度に影響を与えるハ細胞膜を用いた実験では、Na+-K+依存性ATPaseの活性を上昇させ、チロシンヒドロキシラーゼを活性化し、カルシウムの取り込みを調節することが証明されました。経口摂取されたホスファチジルセリンの火部分が、胃と腸で分解されます。

ホスファチジルセリンの効果効能

ホスファチジルセリン 効果 効能

ホスファチジルセリンの効果効能として報告されているもの一覧を紹介します。

■ホスファチジルセリンの効果効能一覧■
「アルツハイマー病、認知症、認知機能、記憶障害、注意欠陥多動性障害、ADHD、運動ストレス、運動能力」

アルツハイマー病、老人性認知症に対する有効性、効果を示唆するヒト試験が報告されています。

加齢による認知機能の低下に対する有効性、効果を示唆するヒト試験が報告されています。—方、効果がないことを示唆する報告もあります。

若い人における認知機能の改善効果に用いられ、注意欠陥多動性障害(ADHD)、抑うつに対して用いられる等の報告があります。

運動によるストレスを予防する効果、また運動能力の向上を目的として摂取される等の報告があります。

老人病患者における抑うつを改善する効果を示唆する予備的な知見、運動によるストレスを減少させる効果といういくつかの報告があります。

ホスファチジルセリンの副作用・毒性

ホスファチジルセリン 副作用 毒性

ホスファチジルセリンの副作用・毒性などの危険性は以下の通りです。

■ホスファチジルセリンの副作用・毒性一覧■
ホスファチジルセリンは適切に用いれば、成人でも小児でも経口でおそらく安全と考えられます。

経口で副作用はほとんどないですが、まれに高濃度で胃腸の不調(300mg)や不眠(600mg)があらわれることがあります。

就寝前に600mg以上摂取すると不眠になるという報告があり、300mg/日以上摂取すると血清尿酸、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が低下するため、胃腸が不調になる副作用が報告されています。

ハーブやサプリメント、食品、医薬品とホスファチジルセリンの相互作用は報告されていません。

妊娠中、授乳中のホスファチジルセリン摂取の安全性については信頼できるデータがありません。安全性は不明です。

ホスファチジルセリンの研究・エビデンス

ホスファチジルセリン 研究 エビデンス

研究①認知機能障害

494名の高齢で軽〜重症の認知機能低下のあるヒトを対象とした6ヶ月の二重盲検ランダム化比較試験の結果、ホスファチジルセリン摂取により行動と認知機能を測るスコアが有意に改善しました。

149名の認知機能障害のある高齢者を対象とした12週間の二重盲検試験の結果、ホスファチジルセリン100mg/日摂取により、神経心理学的テストのスコアが上昇、臨床の行動も改善しました。認知機能に障害がある57歳以上の高齢者120名を対象とした12週間のランダム化比較試験の結果、ホスファチジルセリンを1日600mg摂取しても症状に改善は認められませんでした。

研究②アルツハイマー

アルツハイマー患者70名を対象とした6ヶ月の二重盲検ランダム化比較試験の結果、ホスファチジルセリン200mg/日を摂取した群は8〜16週目に最も症状の改善が見られ、その後徐々に効果は減りました。

51名の患者を対象とした12週間の二重盲検ランダム化比較試験の結果、ホスファチジルセリン100mg/日摂取で、とくに軽症のヒトにおいて有意な症状改善がみとめられました。

研究③認知症

ホスファチジルセリンと認知症に関する多くの臨床試験がありますが、一定の効果は得られていません。多くの実験で使われたホスファチジルセリンはウシ大脳皮質由来ですが、現在は使われていません。

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